外反母趾を理学療法士が機能解剖からリハビリを考えてみる!タオルギャザーだけでは不十分?

歩行分析の中でとても気になるのが「外反母趾」

今日は外反母趾さんを取り上げてみましょう。

 

「足趾=タオルギャザーだぜ!」

 

という人は是非機能解剖を勉強してみましょう!もっと深い視点から母趾を評価できます!

 

外反母趾の機能解剖から歩行までつなげて考えてみたら、親指を評価するのが楽しくなりますよ^ – ^

 

目次

外反母趾とは

第1中足骨が内反して、中足趾節関節で基節骨が外反、MP関節が内側に突出した母趾の変形のこと。(正常な外反母趾角度は10〜15度。20度以上で高度な外反母趾)

ほとんどが女性に起こりやすい病態で、靴があっていなかったり、アーチ低下などからも誘発されます。突出した部分が靴に当たったり、蹴り出し時にストレスかかると痛いわけです。。

 

ひどいと開帳足で横アーチ低下・縦アーチも低下して、真っ平らな足になっている٩( ‘ω’ )و

2次元だけで考えると母趾が曲がっているな〜くらいの感覚ですが、3次元で考えると複雑な外反母趾。

外反母趾を機能解剖から考える

ではなぜ外反母趾になるのか少し細く解剖学的に説明します。

内側縦アーチ低下(舟状骨低下)

いわゆる扁平足になります。理由は様々ですが、解剖学的には内側縦アーチの低下(舟状骨の低下)が外反母趾と影響します。

 

内側縦アーチの静的支持組織(寄与率)

  • バネ靭帯8%
  • 長、短足底靭帯12.5%
  • 足底腱膜79.5%

内側縦アーチ動的支持組織

  • 後脛骨筋
  • 長趾屈筋、長母趾屈筋
  • 母趾外転筋
  • 短趾屈筋

 

などの軟部組織が縦アーチに影響します。

セラピストであれば筋肉のMMTやROMを評価しましょう。単純なOKCの評価だけでなくCKCで評価すると良いです!

さらに詳しい足部のアーチ構造はこちらから↓

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距骨下関節過回内

距骨下関節が過剰に回内することで内側縦アーチが潰れ、扁平足になり、結果的に外反母趾になるという場合です。この場合は距骨下関節の過回内を改善する必要があるので、踵骨をまっすぐ立てるようにテーピングやパッドを入れると良いです。

運動療法で改善する場合は過回内している原因を突き止めましょう。(例えば後脛骨筋の機能不全や距骨の滑り込みが悪い、背屈の可動域制限などなど)

さらに距骨下関節の回内だけでなくショパール関節の回内・回外の動きも評価しておきましょう。実は距骨下関節よりも距舟関節の方が内返しや外返しの可動域は大きいのです!

 

内側と外側の種子骨について

では解剖からいきましょ。

母趾には内側の種子骨と外側の種子骨があります。筋肉としては

  • 内側種子骨(小指側じゃない方)→母趾外転筋と短母趾屈筋内側頭
  • 外側種子骨(小指側の方)→母趾内転筋と短母趾屈筋外側頭

がついている。ん〜〜聞きなれない人がほとんどだと思いますが、よ〜く解剖の図をみて覚えましょう!外反母趾を理解するためには種子骨の理解が重要です。

 

解剖をしっかりと理解しておけば簡単。

  1. 第1中足骨が内反
  2. 内側種子骨につく筋肉は過剰な緊張、外側種子骨に着く筋肉は短縮位になる
  3. 結果的に第1中足骨が回内する

という流れができる。なんで第1中足骨が回内するの?^ ^

→という人は3次元で筋肉の解剖を捉えましょう。

外反母趾は3次元で考えると母趾外反+第1中足骨の回内・内反変形なのです。さらに底屈傾向も加わります。

外反母趾に対する運動療法!タオルギャザーする前に・・

親指の間にティッシュを詰める・・といのは冗談です。

でも結構います、親指の間に何かを詰めておけばいいのでは?という人が。違う違う。メカニズムから考えてみればわかるはずです。

 

外反母趾になると母趾外転筋が過剰に緊張し、母趾内転筋が短縮位になりやすい。

加えて扁平足も影響するのでアーチ形成の運動療法が重要ですよね!

→関連記事:理学療法士向け足関節のアーチ構造のまとめ!

 

母趾外転筋が内側種子骨を引くと外転方向に動かそうとする力が逆に内転方向に働いてしまうので注意。なのでタオルギャザーをする前にやること→母趾内転筋と外転筋を直接緩めてあげること。

まとめると

  1. 母趾内転筋・外転筋をほぐす(まずはこれからやる)
  2. タオルギャザーで前脛骨筋、後脛骨筋、長母趾・長趾屈筋を使う→アーチの形成
  3. タオルギャザーで母趾の外転もしっかり誘導する(1をしないとできない人が多い)

といった感じです。サクッと動画で説明しますね↓

外反母趾の人の歩行分析と治療のポイント

歩行分析のポイントは2つ

では外反母趾の人が歩行時にどんな特徴があるのか?大きく分けて2つ!

  • 立脚初期が遅くなり、立脚後期が早くなる。
  • 母趾で蹴り出しができずに2・3趾での蹴り出しになる。

これが特徴。加えて、母趾での蹴り出しが不十分になるため股関節の伸展も不足。べちゃべちゃした歩き方になっちゃうわけです。(通常の歩行の降り出しは腸腰筋の伸張性反射で誘発されます。)

「母趾だけ見て入ればいいの?」そうそう。ダメですw

僕の平日コースでも伝えていますが、足部は土台から評価してほしいのです。

つまり、距骨下関節や距腿関節などから崩れている場合は先端の足趾を操作しても変化が乏しい。。特に距骨下関節が過回内している場合が非常に多いのでこの土台から修正しましょ!

外反母趾を足から治療するポイント

  • 内側縦アーチの形成
  • 中足骨レベルの横アーチ形成
  • 踵骨の直立化

です。

もちろんインソールは効果的です。

でも運動療法もしっかり行うことで効果を発揮します。(外反母趾の程度によりますが)あと、やりがちですが、「内側のアーチがない!じゃあ内側のアーチをあげよう!」だけではダメです。土台から変えてあげて前足部がどのように反応するかを確認してからにしましょ。

外反母趾のリハビリを考えよう!

外反母趾でリハビリオーダーが出ることが少ないですが、母趾を見る癖をつけると歩行分析が楽しくなります。

  • 最後の蹴り出し・立脚後期にどんな反応をするか?
  • 母趾はどんな形になっているか?
  • 母趾についている筋肉を変えるとどんな変化があるか?

これを知ると歩行が楽しくなります^ ^しっかりと機能解剖を理解して外反母趾のリハビリを考えてみましょう!

 

関連note:足部構造から理解するもっと簡単にみる歩行分析のポイント

 

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