機能解剖から考える足関節捻挫の理学療法評価〜治療!保存版!

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ちょっと「足関節捻挫」について気合を入れて書きます。長いのでご注意。

必要な部分だけ覚えて臨床や現場で生かしてくださいね。もちろん僕の考えも入れてありますので悪しからず。

「足関節捻挫の保存版」です。機能解剖〜評価〜治療の考え方まで。

足関節捻挫は内反>外反が多い理由

その理由は

  1. 外果の位置に比べて内果が高いため
  2. 内反可動域が大きいため
  3. 外側の靭帯は内側と比較して脆弱
  4. 底屈時に足部が内側えしへ誘導されるため

といった感じです。

内側にある靭帯を理解しよう

多くの場合がこの内返し捻挫。

内側にある足関節の捻挫を復習しましょう。

  • 前距腓靭帯(ATFL)
  • 踵腓靭帯(CFL)
  • 後距腓靭帯(PTFL)
  • 二分靭帯

がメインとなります。そのうちの8割はATFLの単独損傷で、20〜40%がCFLやPTFLの複合損傷になります。

ではどの靭帯損傷がもっとも多いのか?諸説色々言われてますが、まあ一般的にはATFLが主です。ではそれぞれの外側靭帯の特徴をとらえておきましょう。

前距腓靭帯(ATFL)

腓骨外果の前方から距骨頸の外側に付着。距腿関節の関節包と癒合する。主に背屈で弛緩し、底屈で緊張する。底屈で緊張するためもっとも靭帯損傷の多い靭帯です^ ^

でもでも。

距腿関節の内反不安定性はあまりないので注意!ATFLの切除による内反可動性は切除前の7%で、実はこの後の踵腓靭帯が大きな影響を及ぼす。(踵腓靭帯を切除すると50%近く内反が増大する!!)

踵腓靭帯(CFL)

ATFLよりも腓骨前端より起始し、踵骨外側・腓骨結節に付着。

底屈・背屈に関係なく一定の緊張を保ち、内反不安定性の制動に大きな役割をもつ。

つまり、CFLが損傷するときは背屈位での荷重の要因を考えないといけない。(ということは遠脛腓靭帯損傷も同時に考えて欲しい)

後距腓靭帯(PTFL)

距骨後突起の外側結節に付着します。ATFLとは逆に足関節背屈で緊張し、底屈で緩みます。

二分靭帯

意外と見落としやすい靭帯。

踵骨から2方向に別れて立方骨と舟状骨に別れる靭帯。Y靭帯とも呼ばれますね。特に踵立方関節の部分に影響を与えて足関節外側アーチの影響を与えます。この辺りは僕の臨床noteをみてくださいね。

遠位脛腓靭帯

特に内側の靭帯ではなく、足関節の前面(脛骨と腓骨を繋ぐ靭帯)にある。

この靭帯が損傷する場合は背屈位での受傷が多い。(重症化しやすい)

また特徴として脛・腓骨の離開ストレスで疼痛を生じる。もしくはER test(足関節背屈+外旋にて脛腓靭帯に疼痛が生じる)が陽性になります。

この靭帯が損傷している場合は重症度が高い場合があります。気をつけましょう。

外側にある靭帯を理解しよう(三角靭帯、スプリング靭帯)

内側の靭帯損傷が多いということでやはりこちらはレア。でもレアな分だけ損傷した時の重症度は高いことが多い。

三角靭帯

脛骨の内果から距骨・踵骨・舟状骨に扇状に広がる。

  • 前脛距部(内果前方〜距骨頸内側)
  • 脛舟部(内果前方〜舟状骨)
  • 脛踵部(内果下端〜載距突起)
  • 後脛距部(内果後方〜距骨後突起)

の4つに別れる。扇状に密接にあるため内側の靭帯は強く、損傷自体が少ない。

スプリング靭帯(底側踵舟靭帯)

載距突起〜舟状骨下縁にあり距骨頭を下からサポートする靭帯。内側縦アーチの保持に関与すると言われているがアーチ支持に関わる割合は8%程度。残りはほとんどが足底腱膜が担う。(約80%)

足関節捻挫後急性期の対処方法

RICE処置

やはり有名なRICE処置

Rest:休息。あまり歩かないで休むことが重要。
特に重症な場合は荷重を掛けずに松葉杖を利用したほうが回復が早い

Icing:冷却。氷を使用して冷やしましょう。時間は20−30分を1セット。

Compression:圧迫。腫れてしまった足をパッドを利用して圧迫しましょう。
適度に抑えることで腫れを軽減できます。(過度な圧迫には注意)

Elevation:挙上。足を心臓よりも高く上げて保持。
理由は血流を足に行かせないで腫れを防ぐため。

→詳しくはこちらの足関節捻挫から

しかし、最近ではこのRICE処置も科学的な根拠が怪しいと言われ始めています。最近のデータではRICEをしなくても変わらないなんて話も。。(血流やら組織の回復過程を阻害するやらで)

僕の考えとしては「固定しすぎて動きにくくなるケースが多い」ので、過度な固定は注意!

特にガチガチテーピングで運動するのはオススメしないです。

足関節の受傷度分類

足関節捻挫は主に3種類の重症度に分かれます。

  • 1度:靭帯一部断裂・関節包温存
  • 2度:靭帯・関節包部分断裂
  • 3度:靭帯・関節包完全断裂

 でも実際の受傷現場での判断は難しいもの。。。様々な評価バッテリーがあるのでご紹介します。

1圧痛による重症度分類

評価方法は圧痛のある靭帯を評価するだけ。メリットは靴を脱がずに触診と圧痛だけで簡便にすぐに評価できること。

2Ottwa ankle rule

オタワ足関節ルール(Ottawa Ankle Rules)とは足首の捻挫をしたときに骨折の有無を簡易的に判断するための基準です。

このオタワ足関節ルール(Ottawa Ankle Rules)はもともとは、レントゲン撮影の必要性を減らし医療費を削減しようという目的でカナダのオタワで施行されたと言われています。

オタワ足関節ルール(Ottawa Ankle Rules)で足関節捻挫の患者においてレントゲン撮影を24%減らし、医療費は36%、待ち時間は69%減少させることが出来たとのデータもあるそうです。

オタワ足関節ルール(Ottawa Ankle Rules)の具体的な方法は

  1. 腓骨遠位端(外果)より6cmまでの後方に圧痛がある
  2. 脛骨遠位端(内果)より6cmまでの後方に圧痛がある
  3. 第5中足骨基部に圧痛がある
  4. 舟状骨に圧痛がある
  5. 歩行の可否(受傷直後に4歩以上歩くことが出来たか)

の5つのうち、1つでも当てはまるものがあれば骨折を疑いレントゲンを撮影します。
「アスイク」:https://www.asuiku.info/ より引用

日本ではあまり知られていないと思いますし、僕自身も教えてもらいました。素晴らしい評価バッテリーです。

3SALTAPS

イングランドのフットボール協会でも使用されている方法です。方法はとても簡単。

  • See:怪我した選手を見る
  • Ask:問診。いつ、どこで、どこが、どんな風になどなど
  • Look:患部を見る。素人でもわかる明らかな変形や腫脹には注意
  • Touch:患部を触って、熱感や腫脹、変形を確認。専門家であれば圧痛部位を各靭帯を触りテーピングの構成を考えておく。もちろんここでOttwa ankle  ruleを使用して骨折かどうかの判断もしておく。
  • Active ROM:足関節の自動運動を確認。全方向。
  • Passive ROM:足関節の他動運動を確認。全方向。
  • Strength:足関節の運動に抵抗をかける。全く力が出ない場合は注

SALTAPSのテストを問題なくクリアすればその場で現場で戻しても大丈夫でしょう。もし問題がある場合はより詳しく整形外科テストや触診を細かくして病態を捉えていくことが大切です。

 

足関節捻挫後の特徴

足関節の捻挫後は腫脹や痛みから可動域制限を生じ、運動軸が変わります。その状態で立位や歩行を行うことで様々な障害を引き起こします。

文献的には様々なことが報告されています↓↓

  • 足関節背屈、底屈制限(見落としやすいのは底屈)
  • 内側・外側・横アーチの低下
  • 前足部機能低下(足趾開排機能)
  • 立位時の足趾過剰収縮
  • 足趾の筋力低下、可動域制限
  • 歩行時の足圧中心の外側偏位(立脚初期〜足趾離地まで)
  • 足圧中心が後方にある(足関節前方組織の癒着のため)
  • 腓骨筋の筋力低下、反応時間の遅延
  • カッティング動作時の膝・股関節の屈曲優位

などなど。これは足関節のROMやMMTだけでは判断できない部分。しっかりと触診や動作分析ができることがポイントです。

→足関節の治療や細かい評価はこちら

足関節捻挫の整形外科テスト

足関節の整形外科テストに関しては急性期に行うよりも受傷後5日間経過した方が感度・特異度が高くなりますので、5日後くらいにチェックしてみましょう。

1外側不安定性テスト

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<目的>
足関節外側の不安定性を評価。主に靭帯損傷時に使用。

<方法>
検者は足を握って内返しする。背屈角度によって不安定性のある靭帯を鑑別。底屈位で検査→前距腓靭帯 背屈0度→踵腓靭帯を示唆。圧痛所見と合わせて評価しましょ!

2内側不安定性テスト

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<目的>
足関節内側の不安定性を評価。主に内側靭帯損傷時に使用。

<方法>
検者は足を握って外返しする。健側と比較して緩みがあれば三角靱帯の損傷を疑う。三角靱帯の損傷自体が稀だが、重症化する場合が多い。

3前方・後方引き出しテスト

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<目的>
前・後距腓靭帯損傷の有無。

<方法>

前方引き出し→脛骨・腓骨を固定して足関節軽度底屈位で踵を前方に引き出す。健側との左右差を比較し緩み・痛みがあれば陽性。ATFLの損傷を疑う。

後方引き出し→中・後足部を固定してもう一方の手で遠位下腿部を前方に移動させる。陽性反応は同様。PTFLの損傷を疑う。

4External Rotation テスト

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<目的>
遠位脛腓靭帯損傷の有無。

<方法>

最大背屈位・外旋での疼痛の有無。この靭帯が損傷している場合はあまり背屈方向へのストレスはかけないようにする。つまり遠位脛腓靭帯に離開のストレスをかけないようにテーピングしたり。

この靭帯が損傷している場合は背屈での痛みを有する。なのでテーピング方法が変わるし、重症度が高いことが多い。

 

足関節捻挫後の急性期〜慢性期理学療法(評価)

一般的な足関節の背屈・底屈ROM、MMTだけでは何もわかりません。数値化できるほど単純じゃないので注意。

僕の意見もあるので参考程度に!大まかに。

  1. 背屈、底屈可動域の自動運動を分析(代償動作を見抜く)
  2. 踵骨の可動域を十分に引き出す(前足部だけでの背屈・背屈はだめ。距腿関節でしっかり背屈・底屈を評価。)
  3. 距骨の動きを確認(後方滑り、前方滑りの確認。前方組織の癒着やATFL損傷による回旋ストレスも考慮)
  4. 内側アーチ、外側アーチを評価(舟状骨、立方骨のアライメントと筋バランス)
  5. 足趾機能の評価(開排機能、MP関節からの屈曲・伸展機能)
  6. 荷重位での評価(立位・歩行・スポーツ動作分析)

といった感じに評価を進めていきます。

足関節が不安定になるのは正常な足関節のアライメントや運動パターンが失われているから。

しっかりと治療をすれば、不安定性の改善も見込めることがあります。(急性期でもアライメントを整えてテーピングで動きを作ってあげると疼痛が変化する場合もあります)

もちろん歩行も変わります。→→足部と歩行はこちらで詳しく

足関節捻挫後に硬くなりやすい部位

足関節捻挫後は炎症から周囲組織の癒着が知らず知らずのうちに。

結果的に痛みがおさまる頃には癒着して可動域制限→マルアライメントの状態から日常生活やスポーツに復帰する人がほとんど。

だからこそ最初の段階で硬くなりやすい部位を修正してあげてください。

1脂肪組織

脂肪体は動きの多い部位に存在し、固有受容器と自由神経終末を持つ。捻挫後は1や2の脂肪体が周りの組織と癒着しやすい

2各軟部組織の影響

筋肉に関しても様々な筋肉が影響します。そしてポイントは「滑走性」が低下していること。つまり筋肉と筋肉の間が滑りにくくなっている状態。これでストレッチをしてもあまり効果的ではない。

<後方組織の問題の例>

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<前方組織の問題の例>

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<足関節内・外側組織>

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このような仮説を検証するためには触診の正確性と個別での筋肉の伸長が必要です。
どの部分に制限があり、どのあたりが制限になりやすいかを考えます。しっかり触って動かして考える、基礎的ですが大切です。

ちなみにストレッチだけの治療だと不十分。

組織同士の滑走性が低下しているので、滑走性を引き出すようにマッサージしたり、筋間の組織を剥がしたり。そのあとに自動運動を行い学習させていく。この過程が大切です。

アンダーラップの巻き方・ホワイトテーピングの巻き方

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足関節の機能だけではどうにもならない場合にテーピングを使いましょう。

アンダーラップやテーピングの持ち方・切り方・張り方から。しっかり切れる!しっかり貼れる!やはり基礎がとても大切です。

キレイに切れればキレイにシワなく貼れる。

もちろん巻く時は評価した足関節の状態を把握しながら巻きます。

綺麗に巻けるだけではなく相手の状態や動作を評価して適切なテープを巻くようにしましょう。(ケースバイケースで、時間がないときは評価を飛ばして巻くスピードを優先する場合があります。)

テーピングが誰でもうまくなるポイント

基本的にはテーピンは誰でもうまくなります。

そのポイントを列挙しておきます。

  • 巻く回数・頻度を増やす
  • テーピングがきれいに切れる・貼れる
  • テーピングの順序・方法が頭の中に入っている
  • 解剖学を理解している
  • 運動学を理解している
  • テーピング後の動作分析ができる
  • テーピングの1本1本の意味合いが理解できている

巻く頻度や回数はとても大切。

テーピングについて(テーピングの種類と原則)

テーピングの種類について↓↓

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またテーピングの原則として関節軸から離れるほどテーピングの強度は強くなり、テープの張る位置を考えると関節の副運動も誘導できます。
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全てホワイトテーピングで巻くことはほとんど無い

足関節のテーピングを巻く時ホワイトテーピングだけで巻くことはほとんどありません。理由としては動きにくいから。

これは実際に巻いてもらうと分かりますが全固定ではほとんど動けなくなります。特に背屈の動きを制限してしまうと障害にも繋がりやすいのです。

つまり背屈を制限しすぎないで左右の固定を高めることが重要になります。

オススメの方法はこちら↓↓
・スターアップまではホワイトテーピング
・その後伸縮性テープを用いてヒールロックとフィギアエイトをつなげて巻く
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この方法が早く巻けて、選手の満足度も高い結果となったようです。
テーピングを巻ける環境や時間、物品によっても変化しますが選手をあまり知らない状態の時はこれが重宝するようです。

スターアップ+フィギアエイト

制限をさらに減らすためにスターアップも伸縮性テープを利用。
伸縮性テープでスターアップとフィギアエイトを続けて行うことで簡易的に制限ができます。
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私自身もこの巻き方はお気に入りで適度な制限で動きやすい。捻挫後で痛みが減っているのであればこれくらいでOK!!

背屈と底屈制限テーピング

単純な背屈や底屈を制限したい場合にはこのテーピング。
左右の動揺は気にならないけど最大背屈が痛い・・なんて時に使いましょう。例えばPTFL損傷とかでも有効かも
底屈制限テープ↓
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背屈制限テーピング↓
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フィギア6

フィギア8よりも軽めに巻きたい。そんな人にはフィギア6という方法。
これは簡単なので選手自身も巻くことができるでしょう。
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他にもこんなテーピングを巻いて感覚入力や動きを引き出しています↓

オススメのサポーターについて

→ASOサポーター

おすすめはASOというサポーター。レースアップタイプの装具の方が良いという文献が多いし、主観的にもこちらの方が違和感なくスポーツできます

 

足関節捻挫のまとめ

  • 内反捻挫が圧倒的に多い
  • ATFL損傷が一般的には多い
  • 受傷度としては遠位脛腓靭帯損傷、内側靭帯損傷がポイント
  • 骨折か捻挫かの評価バッテリーはOttawa ankel ruleが優秀
  • 足関節捻挫後はマルアライメントが存在し、不安定性を引き起こす
  • 文献的には様々な報告があるのでしっかり勉強するべし
  • テーピング効果の持続性はサポーターに及ばない
  • テーピングをホワイトだけで巻くことはない
  • サポーターも有効活用する

といった感じです。捻挫だから・・という人がほとんどで病院に来ません。。

ちゃんと評価・治療をして足関節を正しい機能に修正してあげることが大切です。それはトレーナーや理学療法士がいない状態でもできるように選手やチームに教育することがより重要になると思います

 

他の足関節関連の記事はこちら

→足関節可動域について詳しく

→長母趾屈筋と背屈可動域の関係性について

→歩行について詳しく

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