胸郭・呼吸の機能解剖と運動を理学療法士がまとめてみた!ヨガ・ピラティスインストラクター向け

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息を吸ったり吐いたり。人間にとって必要不可欠な呼吸。

しかし現代人の呼吸は恐ろしく浅い。
理由は猫背やストレス、生活環境などが影響。

当たり前だけど
「呼吸は深い方がいい」

呼吸が浅い=人間の体を作る細胞に酸素・血液が回らないということ。
呼吸が浅ければ眠い、だるい、疲労回復しないなど。

日常生活にも影響を与えます。
呼吸を学ぶということは一生使える知識を学ぶということ。
誰もで今すぐに「呼吸」は変えられる。

ではどうやったら深くなるのか、メカニズムとともに紹介します。

さらっと動画で胸郭を知ってみる

 

胸郭のメカニズム

そもそも胸郭とは何か?

胸郭とは

  • 胸骨
  • 肋骨
  • 胸椎

から構成されています。大切な心臓や肺を取り囲むカゴとして捉えてください。

この胸郭が自由に伸び縮みすることで肺に空気が入り込みます。つまり胸郭がカチコチに固くなると体に空気が取り込めない状態になるのです。

もちろん弱くなっている筋肉があっても胸郭は広がりにくい。特に脊柱の伸展筋。現代人は特に筋力低下が著しいです。

呼吸をするための筋肉「吸気と呼気筋」

  • 通常吸気:横隔膜、内、外肋間筋
  • 強制吸気:斜角筋、僧帽筋、肩甲挙筋、大胸筋、胸鎖乳突筋など。

通常呼気には横隔膜が弛緩するだけで、強制呼気には腹筋、内肋間筋も使われます。

ポイントとなる筋肉は横隔膜。

どちらの吸気、呼気にも関与する筋肉。意識するのが難しい筋肉でもあります。もちろん筋肉なので鍛えたり・ストレッチすることも可能。横隔膜がしっかりと伸び縮みして動くと呼吸が楽になるのです。

横隔膜の触診部位は肋骨に沿った部分。この部分に手を当てて深く呼吸すると少しずつ横隔膜が緩みます。

※肋骨は折れやすいので注意!
また横隔膜はインナーマッスルの一種なので、大腰筋や腹横筋、骨盤底筋群と合わせてトレーニングすることをオススメします。

現代人の呼吸が浅くて苦しい原因を筋肉から考える

姿勢、生活環境、ストレスたくさんの理由がありますが、ここでは体の固さに焦点を当てます。

短縮すると呼吸しにくい筋肉

  • 頸部前面筋
  • 大胸筋
  • 腹筋群
  • 大腰筋
  • 前鋸筋
  • 腰方形筋
  • 広背筋
    などなど

大まかには体の前側と横側の筋肉が固くなると胸郭が動きにくくなります。
一般的な円背の高齢者を思い浮かべてみてください。

弱化すると呼吸しにくい筋肉

  • 脊柱起立筋
  • 僧帽筋下部繊維
  • 広背筋
  • 菱形筋

こちらも大まかには背中側の筋肉。現代人は確実に背中の筋肉が弱くなっていますのでしっかりと鍛えてあげてください。

胸郭の評価
(ポンプハンドル・バケツハンドル・キャリパーモーション)

まずは胸郭の動きを確認。

ポンプハンドルモーションは上方の肋骨の動き。
主に前後に動くようなメカニズム。
理由は背骨の関節面の角度が前後方向を向いているため。

バケツハンドルモーションは下方の肋骨の動き。
主に左右に広がるような動き方。
これも同様に背骨の関節面の角度が横を向いているため左右に広がる。

他にもキャリパーモーションという浮遊肋の動きもあります。

 

胸郭の評価は以下の通り

  • 上方と下方の肋骨の広がり方を評価(ポンプ・バケツハンドルモーション)
  • 呼吸時の胸郭拡張をチェック
  • 触診から固くなりやすい筋肉を確認
  • 仰向けで上肢を挙上した時の腰椎の代償確認(広背筋などの短縮)
  • 胸骨下角の広がり(両方合わせて正常は70〜90度)をチェック
  • 体幹の屈曲・伸展・側屈・回旋を評価

呼吸を深〜くするアプローチ

スクイージングという呼吸に合わせて、深く呼吸する方法があります。(排痰療法の一種)
やみくもにこのスクイージングをしても呼吸のやりやすさはあまり変わりません。

呼吸を変えるためにはストレッチと筋トレが大切。

上記に示した通り、固くなっている筋肉を伸ばし、弱くなっている筋肉を鍛える。
シンプルですがこれで深く呼吸をする準備が整います。

さらに呼吸を深くするためには胸椎の屈曲・伸展の可動域を引き出しましょう。
ヨガのポーズでも胸椎の可動域を引き出すポーズはたくさんありますが多くの人は腰椎で過剰な伸展を起こしてしまいます。

ヨガインストラクターに多い腰痛はこのパターンが多いです。しっかりと腹横筋を働かせて腰椎の新手を防ぎ胸椎の伸展を促すことが大切です。

次に呼吸方法。
呼吸は基本的には「鼻呼吸」
理由はたくさんありますがさらに詳しく知りた人はこちら→口呼吸がいけない理由

  1. 鼻から息を吸って(腹式・胸式どちらも交互に行う)
  2. ポンプ・バケツハンドルモーションを意識して胸郭を広げる
  3. さらに背骨周りが広がるように意識する
  4. 無理のない範囲でゆっくりと吐く

これを単純に繰り返しましょう。深く、ゆっくり、体が広がっていくことを意識して。

胸式呼吸が悪いわけではありません。胸式呼吸を行うことで上方の肋骨の動きが出やすくなります。
ただ肩甲骨が挙上するような努力性の呼吸は良くないので注意。

もちろんヨガやピラティスのように運動を加えながら呼吸をすることで
さらに胸郭が広がっていきます。これはオススメの方法です。

横隔膜と大腰筋の関係性

横隔膜と大腰筋は起始部で繋がっています。(大腰筋とは股関節と背骨をつなぐ筋肉のこと)

つまりどちらかが機能不全を起こせば双方に影響を与えます。股関節周りが固くて動きにくい人は猫背の人多くないですか?

これは横隔膜と大腰筋のつながりを示す良い例。胸郭の機能不全は股関節の機能不全に影響を与えるということです。

体をしっかりと伸ばすことが出来ないということは横隔膜も大腰筋も固くなっています。
どちらもしっかりとストレッチして動かすと呼吸も深く出来ます。

内蔵と呼吸

横隔膜の上には肺や心臓があり、下には内蔵があります。
つまり内蔵に問題があると呼吸に影響を与えます。

「お腹いっぱいだと苦しいー」

というのは呼吸の影響もあるかもしれません。難しいことは抜きにお腹を触ってみてください。
かたーくなっている人は内蔵の働きにも影響あり。特に押してみて痛い人は特に注意。

胃、肝臓あたりに固さや痛みがあったら生活習慣や食事を見直しましょう。
また食事量を減らすことでもデトックス効果があります。
内臓への負担を減らすと驚くほど呼吸がしやすくなります。

まとめ

  • 胸郭の動きは上と下方では異なる
  • ポンプハンドル、バケツハンドルモーションを理解する
  • 吸気、呼気共に影響するのは「横隔膜」
  • 人の体の前面は固くなりやすく、後ろは固くなりやすい。
  • 前側の筋肉を伸ばして、背中側の筋肉をつける
  • 横隔膜と大腰筋は関連があるので、股関節周りを動かすことも重要。

深〜く胸郭について勉強した人はこの本がおすすめ↓↓

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吉田直紀

吉田直紀

フリーランス理学療法士!「病院に行かない文化をつくる」がモットー。つくば・代々木で施術・トレーニング・ピラティス・インソール作成!!年間600人の専門家指導/月間10万PVメディア/さらに詳しいプロフィールはこちらから