「足底腱膜炎はストレッチ!!」
これじゃ治りません。湿布や痛み止めも根本の原因解決にはなりません。
何が原因で足底腱膜になったかを理解して施術する必要があります。
今回はそのポイントと一般の人もできるセルフケアも同時にお伝えします。自主トレしてやってみてください!
足底腱膜とは?
足底腱膜は踵骨隆起前内側突起〜基節骨底、底側靭帯との間にある組織。
主な機能としては足の内側縦アーチに関与し足部の安定性を担います。
特に歩行立脚前〜中期にかけて足趾の屈筋群と共に緊張を高めて足部の衝撃吸収を行う。
足底腱膜炎の症状・痛みの部位
足底腱膜炎は特有の症状がある↓
- 朝起きた後の一歩目が痛い
- 長い時間座った後の一歩目が痛い
- 歩いていた方が痛みは楽になる
- 爪先立ちで痛くなる
痛くなる場所としては
- 踵に近い部分
- 土踏まずの部分
がもっとも多いです。圧痛もあるので確認してみましょう。
足底腱膜炎の理学療法評価
まずは動画で説明↓
他にも下記のようなことを評価しましょう↓
- 問診(足底腱膜炎特有の症状があるかどうか)
- 圧痛部位
- Foot Posture Index(アーチや足部の回内外を総合的に評価)
- 足部のアライメントを触診で評価
- 歩行分析
必ずOKCの評価からCKCの歩行まで全て評価します。
立位や片足立ちで足部のCKCの反応を見ることは足部疾患にとって重要。これらを丁寧に評価してみましょう。
足部は構造が複雑。だからこそ機能解剖の知識と触診技術が非常に重要です。
足底腱膜炎の歩行分析のポイント
全て立脚期だけをみて分析しましょう。
- 立脚初期の距骨下関節の回内・回外どちらにいきやすいか?
- 立脚中期のアーチが機能しているか?
- 踵離地の時期。健側と比較して早いか遅いか?
- 前足部の向きは?
- 下腿の回旋は?
- 膝の向きは?
などなど。スマホで動画をとってスローモーションで分析してみましょう。必ず左右差があるはずです。
専門家の人は歩行分析noteも参考にしてみてくださいね!
足底腱膜炎になる3つのパターン
いずれも足底腱膜に「伸長ストレス」が加わることが問題。
1内側縦アーチの低下
アーチが沈み込み低下してしまうと足底腱膜に伸長ストレスが加わることが原因。
主に立脚中期に加わるストレス。じゃあなぜ内側縦アーチが低下してしまうのか?
- 足部内在筋の機能低下(指の力が使えない)
- 距骨下関節の過回内
- 距舟状骨の過回内
などの理由が複雑に絡んでいます
2踵の離地が早い
歩行立脚後半に踵の離地が早期に起こり、蹴り出し足の足趾の伸展が過剰になる。これによって足底腱膜に伸長ストレスが加わるパターン。
主な原因は下腿三頭筋の伸長性低下。
下腿三頭筋が短縮すると踵骨を前方に傾斜させて結果的に足底腱膜にストレスを加えやすくなる。
3踵の離地が遅い
歩行立脚後半に過剰に背屈して足底腱膜に伸長ストレスが加わる。
原因は
・足関節の過剰な背屈
・アーチ機能の低下
・距骨下関節、距舟関節の過回内
のいずれかです。
足底腱膜炎の治療
上記のように原因が3つに分かれます。つまり治療も3つに分かれるということ。
- 内側縦アーチの低下→足部内在筋トレーニング、距骨下関節・距舟関節の回外誘導、
- 踵の離地が遅い→下腿三頭筋のリリース、ストレッチ(特にヒラメ筋はよくやりましょう)
- 踵の離地が早い→足部の背屈代償を修正、アーチ形成トレーニング、距骨下関節・距舟関節の回外誘導
となるわけです。
だから「足底腱膜のストレッチ」だけではよくならないのです。またアーチの形成には母趾と足趾、後脛骨筋トレーニングが重要です。
原因を見極めて治療を的確に!
足底腱膜炎の評価ポイント
・立脚中期の内側縦アーチの低下
・立脚後期の踵離地が早い
・立脚後期の踵離地が遅いいづれも足底腱膜炎への伸張ストレス。
治療ポイントは
・下腿三頭筋
・アキレス腱
・内外の縦アーチ、横アーチ形成ちゃんとできると即時的に痛みは変わる pic.twitter.com/DB2NBUHPpt
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年7月4日
足底腱膜炎に関わるその他の因子
足部の機能以外にも色々な因子が足底腱膜炎に関わる。
- 加齢
- 肥満
- 合わない靴
- 長時間の立位
- 外傷の既往歴
などなど。丁寧に問診をしましょう。
足底腱膜炎に対するインソール処方
インソールに関しても3つのパターンのどれが問題になっているかで変わります。
内側縦アーチの低下の場合のインソール処方
- 1列背屈
- 舟状骨・内側楔状骨挙上
- 距骨下関節回外
- 楔状骨部分挙上
あくまで一例です!反応は人によって異なるので高さの調整は色々試してみてください。
踵の離地が遅い場合のインソール処方
後足部に高さを足して踵離地のタイミングを早くする
踵の離地が早い場合のインソール処方
中足骨部分に高さを足して踵離地のタイミングを遅くする
これらの処方によって足底腱膜に対するストレスが変わると痛みも即時的に変わります。
足底腱膜炎に対する3つのセルフエクササイズ
※個人によって症状が異なるので痛みや違和感がある場合は中止してください。
1足指体操
足指が硬い人はしっかりとほぐしましょう。内在筋が使えない人の多くは足趾の動きが悪い。足の指と指との間をマッサージした後に足の指でグーチョキパーを作る運動を行いましょう。
2アキレス腱マッサージ
アキレス腱はストレッチよりも上下左右へのマッサージをまず行いましょう。理由はこれです↓
<アキレス腱のねじれ構造から考えるストレッチ>
アキレス腱ってほとんどの症例でねじれています。
・腓腹筋外側頭
・腓腹筋内側頭
・ヒラメ筋これらがねじれてアキレス腱を構成しているので。
ストレッチは単一方向ではなくいろんな方向で伸ばしましょう。 pic.twitter.com/EG3uPnfTPG
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年5月15日
アキレス腱近くには脂肪組織・足趾に関わる筋肉があります。アキレス腱と癒着して硬くなっていることがあるのでしっかりとほぐしましょう。
3アキレス腱ストレッチ
マッサージしてほぐしたアキレス腱をストレッチして仕上げましょう。階段や段差を利用してかかとの上げ下げをします。ポイントは最大限踵を落としてから上げ下げを行うこと。可動範囲全体でアキレス腱を使うことが大切です。
足底腱膜炎のまとめ
- 足底腱膜炎には原因が3パターンある
- 3パターンに応じた治療方法を選択する
- 歩行分析がとっても大事
以上です!
今まではインソールに頼ることが多かったのですが、徒手と運動療法だけでかなり足底腱膜炎は変わります。多くの人はその場で痛みの変化や歩行の変化を感じます。最近ではサポートとしてインソールを使うかどうかの判断をしています。
一般の方で長年足底腱膜炎で悩んでいる方は一度ご相談ください。的確に評価と治療が当たると痛みは変わります。
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