2021年6月の終わりに出版した「できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと」
通称「できセラ」として知られるようになりました。
- Amazon2週連続1位、医療分野5冠達成
- 楽天ブックス1位
- 紀伊国屋書店新宿医書センターの週間ベスト(日本全国売り上げ1位)
- 販売開始から3週間で増刷決定
という結果です。
ではこの本の秘密についての想いをつらつらと語りたいと思います。
情報が無料で溢れる時代に「本」を作るかどうかの判断
そもそもの発端はGakkenの編集者向井さんとお会いしたところからです。
一応、僕は理学療法士のオンラインサロンとして大きなサイズになっているFreePTsalonを運営しています。
そこに目をつけるのは出版業界のマーケティングとして当たり前ですよね。(Youtuberが本を出して売れることと似ていて。確実に売れるファン層を既に確保していることと同じです。)
なぜなら「本は売れないし、届かない時代」だからです。だから売れるマーケットを持っている人の元にお話が来るようになります。いわゆるマーケティングが通用しなくなった世界において。鼻が効く人はこうやって動きます。
僕はそれくらいの感じで見ていました。だからそもそも本に対する興味があったわけではありません。
なぜなら本を売るよりも
- 動画やweb情報で届けたほうがいい(みんなスマホで情報を得るから)
- 情報は変化するが、本は変化しづらい(廃れやすい)
- 利益率から考えても本を出すよりも電子化の情報として届けたほうがいい
というドライな経営目線で考えていたからです。
2020年の冬。最初に向井さんと会った時。向井さんに聞きました。
本のゴールはどこですか?と。
もしその答えが「部数」を売ることだけが目的だったら、この案件はお断りしようと思っていました。
でも
「若手の危機意識」をなくして「未来」をつくる本を作りたい」
という素敵なビジョンが出てきたのでのっかりました。
本を作る前に「届ける」設計を作り込んだ
まず本を作る前に、本業界の問題と悩みを徹底的にリサーチしました。
ゴールから逆算して設計図を作ることです。
僕らの全戦略と設計
1ヒアリング300人
まず、現場の悩み、若手セラピストの困っていることを実際にヒアリングしました。これはGakkenさん側が丁寧にやってくれました。「直接300人に会って、話を聞くこと」これがヒアリングであり、現場の声です。
SNSで悩みを募集しても本当の悩みは出てきません。
だから僕らは深いニーズに気づくことができました。
2ペルソナ設計からわかった壁
「読まない・読めない・買わない」
これが現在の本の状況です。どんなに良いコンテンツを作っても読まれないし、買われません。
だから読まれる設計を作ることをメインに
- ページの余白
- 文章の文字数
- 段落わけ
- コンテンツの深さと広さ
- 図や表の大きさ
の設定を考えました。
僕らが届けるのは「本を普段読まない1~3年目PTに向けての一歩」となる内容です。
そこにコミットして作りました。
3著者一人一人を巻き込む
これは本に関わる主人公を多くすることで、広めていくという設計です。
本を書いたことがある人はわかると思いますが。
本は1人で書いたほうが楽だし、簡単です。今回は約50名の著者が参加しています。
するとチェックや文章構成などのやりとりに非常に時間がとられます。
それでも手を挙げてくれた人全員を巻き込みたかったのです。
そうすることで受信側から発信側になる一歩を著者のみなさんが踏み出せるから。
そして本は「書きたい、作りたい、届けたい」という熱量がある人が書いた文章の方が圧倒的によくなるからです。
届ける設計
このあたりは
「本を出して出版社に任せて売ってもらう」
というのは時代遅れで。
- 本を作ったら
- 1人1人に届ける
- 1人1人がセールスをする
のが当たり前です。ビジネスの起業と同じレベルで本を届ける作業を考えることを徹底しました。
だから予約前にamazonで1位になり予約を取り切るところまで達成したわけです。
コンテンツの質はペルソナファースト
僕らが届ける人は「本を普段読まないPT1〜3年目の若手セラピスト」です。
20年目のセラピストに向けた本でもありませんし、専門分野が決まっているセラピストに向けたものでもありません。だから内容を広くわかりやすく、読みやすいようにコンテンツを作っています。
- 読んでもらう工夫
- 手に取ってもらう工夫
- わかりやすく読み通せる工夫
- 読み飛ばしできる工夫
を入れてあります。ペルソナに対するコンテンツの質を徹底的に高めました。ゴールデンウィークを全て返上して徹夜で編集していただいた向井さんに心から感謝します。
僕がやるべきことは三方よしを作ること
で、僕がこの仕事を引き受けたときに考えたのは「三方よし」
- Gakken側のメリット
- 著者がメリットを受けること
- 購入者がメリットを受けること
この3つを達成することが僕の中でのゴールだと。
Gakken側のメリット
ここはどこまで行っても企業なので「 売り上げ」であり「部数」になります。
Gakkenのゴールは
- 初版4000部を売る
- 増刷がかかる
この2つ。
おかげさまで、4000部を売り切って、増刷がかかったのでひとまず安心です。
著者のメリット
著者は全てFreePTsalon のメンバーです。
- 本の出版が決まり、本を母校に持っていったら授業の1コマを持たせてもらうことになった!
- 大学のTAや研究などの応援したいとお声かけ頂ける機会が増えた!
- 私の最大のメリットは「親が喜んだ!」です。親孝行できたんだなーって!
- スポーツクリニックでスポーツとピラティスセミナー講師予定!!
などなど。嬉しい報告をいただきました。
もちろん、これからもっと多くの著者のメリットを増やせるように仕組みを作っていきます。
本当にみなさんありがとうございます。そしてもっと頑張ります!
購入者のメリット
これはもちろん本のコンテンツです。
ただ、本は情報が追加されず、廃れるデメリットもあります。
だから購入者限定のセミナープレゼントを追加していき、継続的に学習できる仕組みを入れております。
そして著者と繋がれるきっかけとなるようにもしています。そしてアンケートもとりながら、随時修正をかけて情報をお伝えしていきます。
印税に関しては全てできセラの仕組み設計に回します
これも本を作るときから決めていました。
僕の印税に関しては全て「できセラ」の仕組みに回します。購入者・著者の人がメリットになるようにお金を回します。
大切なのは点で終わることではなく。線で繋がり、循環することが何よりも大事です。
これから徐々に仕組みに投資していきます。
しばしお待ちください。
ここまで一緒に走ってくれたみなさんに心から感謝します
FreePTsalon のみなさん、Gakkenのみなさん、応援していただいたみなさん、本当に心から感謝します。
もちろん、まだまだクオリティを上げる部分や変化させていく部分があることは重々承知しています。
それでもこの本が与えてくれたインパクトは非常に大きなものでした。
これからもどうぞよろしくお願いします。