ウォーミングアップやクールダウンって学校の部活や体育でなんとなく習ったからやっていますよね?
でもせっかくやるならその効果は最大限引き出したい( ´∀`)
なのでウォーミングアップとクールダウンのポイントを科学的なところから実践までお伝えするよん!
ウォームアップの目的と効果
ウォームアップはトレーニングや練習、試合前に体を動かすことによって適切な筋温に上げ、筋肉を動きやすい状態にすること。
簡単に言うと「思い通りの動きを再現するための準備」になる。
じゃあその効果を1つずつ確認してみよう。
筋温をあげる
筋温をあげることでヘモグロビンやミオグロビンからの酸素解離増加が起こり、それぞれの組織で酸素を使いやすくする。
他にも
- 代謝反応加速
- 神経伝達速度の上昇
- 活動筋での血流量増加、
- 酸素摂取のベースラインの上昇
- 運動初期における無酸素性代謝が減少
- 粘性抵抗の減少
などがある。
しかもマッサージや物理療法などの受動的なものよりもアクティブに行うウォーミングアップの方が反応が大きい。
気をつけたいのは「冬」
低体温の状況から一気に筋温をあげてしまうと筋収縮と呼吸循環機能に悪影響を及ぼす。なので冬は緩やかに体温を上昇させて、体温を下げないようにすることが大切。(筋温の上昇効果は45〜90分程度)
Pavlovらの研究によると深部体温が約38.7℃に上昇した時に身体的パフォーマンスが最大にになると言われている。
ウォームアップをすることで身体機能が上がる理由のメインは「筋、神経、心臓などの働きが温度に強く依存する」から。だから適切な負荷で筋温を上昇させ、維持させることが大切。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2017年12月27日
脳への血流量UP
運動をすると脳への血流量が上がる。特に前頭前野の認知機能が向上する。実際に運動をした後の方が学習効率はUPする。
柔軟性を高める
適切な筋温に達していると柔軟性を高めることができる。スタティックストレッチやダイナミックストレッチが有効。
スタティックストレッチは運動前には筋力を低下させると言われているが、30秒以内であれば筋力は下がらないので大丈夫。
心肺機能への影響
ウォームアップによって筋肉への酸素供給がされやすくなる。酸素摂取量が増加し、運動を開始しても酸素をうまく使ったエネルギー産生ができるようになる。
これが不十分だと運動開始直後に「ああ・・呼吸が苦しい」となってしまう。
コンディショニングの確認
選手自身が動いてその日の体調をチェックする。外的な要因で天気や温度、フィールドの状態も影響するので環境とマッチするための時間でもある。
メンタルの調整
体と心は一心同体。緊張の状態がどの程度体に影響するかもチェックしておく。
神経伝導速度の増加
筋温体温が上昇することで神経伝導速度が増加する。つまり脳からの司令〜筋肉の収縮時間が短縮されるということ。
研究としては心拍数110〜120回/分程度の運動強度で15分程度の走行が良いとされている。
神経伝導速度は運動後15分までは上昇し、その後疲労によって低下してくる。
ウォーミングアップの強度と時間
運動強度の設定は低すぎても高すぎても良くない。
ポイントは運動強度が乳酸閾値(LT値)で15〜30分間運動を行うと運動。
LT値の簡単な計算は
LT値=(220-年齢)×70%
なので。20歳の人であれば心拍数140程度の運動強度でウォームアップを実践すると良い。
ちなみに50%のLT値(20歳の人であれば心拍数100)では筋温が上昇しないことがわかっているので、強度を下げすぎないようにしよう。
ウォーミングアップの方法と手順
- 有酸素運動による筋温の向上
- スタティックストレッチ
- ダイナミックストレッチ
- 競技に特化したトレーニング
まずは筋温を上昇させる。ランニングやバイク、縄跳び、ドリルなど。下半身の大きな筋肉から筋温をあげるとよい。
次にスタティックストレッチ
スタティックストレッチは筋肉のパフォーマンスを落とすというネガティブな意見があるが、それは有酸素運動によって筋温を十分に上昇していない場合。また30〜60秒の長い時間ではなく15秒くらいのスタティックストレッチであれば問題ない。筋肉の緊張を落としたい部位に実施すると良い。
その次にダイナミックストレッチ
反射を利用して筋肉の収縮を促し試合に向けて準備させる。
最後に競技特性に近い運動パターンのトレーニング。
一度やればOK?ウォーミングアップの持続
実はこれも筋温が重要になる。
例えばバスケットボールの試合のハーフタイム10分間に何も運動をしなければ一気に筋温は低下してしまう。サッカーのハーフタイムで休憩をすると約1.5〜2.0°の筋温が低下し、スプリントタイムが低下したことが認められている。
他にも1時間の休憩を失うとウォームアップの効果がなくなってしまうという報告もある
運動の種類によるが運動を行う時間帯は筋温を下げないように服装や空調、ウォームアップを調整することが大切になる。また時間が空いてしまうときは再度ウォームアップを実施する必要がある。
条件によってウォームアップが変わる
スポーツは常に前提条件が変わる
気温、湿度、場所・・・同じ条件はほとんどない。そのためウォームアップも条件下によって色々変える必要がある。
特に夏場と冬場は注意。
- 夏:気温が高くなりやすいので涼しい場所での運動や水分摂取をこまめに行う
- 冬:急激なウォームアップは危険。緩やかに筋温をあげていき、試合前まで筋温を保つことが大切
また選手1人1人によってもウォームアップの方法を変える方が良い(セルフアップの時間を持つ)全員を1つのウォームアップで統一するのは非効率的だ。
クールダウンの効果と具体的な方法・強度・時間
クールダウンの目的を簡潔にいうと「急激に運動を止めないことと不要なものを早く流すこと」
運動を急に停止すると筋肉のポンプ作用が低下→心臓の拍出量低下が起こる。結果的に乳酸や不要なものが流れにくくなってしまうことが問題。
具体的な方法としては
- ランニング(強度は30-50%VO2max、心拍数100-130で5分〜15分)
- ストレッチ(ダイナミック→スタティックへ)
- 交代浴
- 栄養補給
などなど。
血流を流すことが一番のポイント
まとめ
- ウォームアップとクールダウンの効果を知ろう
- 適切な負荷と時間を知っておく
- 選手や環境によって常に変化する
おそらくこれからも時代とともに変化していくだろうウォームアップとクールダウン。
選手や状況に合わせて柔軟に変化させて最高のパフォーマンスを導いていこう!