人工膝関節置換術をすると
・除痛
・FTAの改善
・膝の可動域の拡大
などなどメリットがたくさんあります。
しかし、人工膝関節置換術をするとふらふらと立位バランスが悪くなることがあります。
しかもFTAが大きいほどこの特徴は出やすいのです。
人工膝関節置換術をした後のバランス不良の原因とその改善策について
今回説明したいと思います。
人工膝関節置換術後のリハビリに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
なぜ人工膝関節置換術をするとバランスが悪くなるの?
ある文献を参考にしましょう。
FTAが20°以上の変化を及ぼすと立位バランスが悪くなるという文献です。理由は2つあります。
1FTAが大きい=姿勢制御が2関節筋
FTAが大きいということはアライメントが骨盤後傾〜股関節外旋ということになり大腿筋膜張筋と大腿直筋が伸張され固くなってしまいます。この2つの筋の張力が姿勢を制御するスイッチに変わってしまうため
バランス反応が通常の人よりも悪くなります。
2関節筋は筋の長さが長い分、姿勢が変化したときに感じる筋紡錘のセンサーが働きにくくなってしまうのです。
2術後FTAが改善することで姿勢制御していた筋に頼れなくなる
もちろん姿勢制御を2関節筋に頼っていたので人工膝関節置換術を行いFTAが改善されることによってバランスがとれなくなってしまいます。
人工膝関節置換術のバランス能力を高めるには?
術前のアライメント因子を考える必要があります。
FTAが大きくなっている方は骨盤後傾〜股関節外旋になっていることが多いです。
この状態で弱化している筋肉を考え修正するのです。
人工膝関節置換術を行い骨の状態が修正されても、筋バランスの修正は不十分なのです。重要となる筋肉は3つ。これらの筋の弱化を改善する必要があります。
1大臀筋下部繊維
上部繊維ではなく下部繊維というところがキーポイント。
下肢を内転させる下部繊維を鍛えることが大切。
股関節の伸展と内転を同時に行いましょう。
2ハムストリングス上部
今度は下部ではなく、上部です。
上部は体幹の前傾を止める作用があり
高齢者にありがちな体幹前傾姿勢を改善する役割があります。
レッグカールのような膝の屈曲運動では効果はありませんよ。
3脊柱起立筋
これもハムストリングス上部と同様。
脊柱の伸展筋力低下は9割の高齢者にある問題です。
円背であっても筋力は改善します。
脊柱伸展筋のトレーニングを行いましょう。
まとめ
人工膝関節置換術を行う場合、FTAが20°以上の変化は立位バランスを悪くする可能性がある。
これはFTAにより2関節筋での姿勢制御が取れなくなってしまったことが要因として考えられる。改善策としては術前のアライメントを考え、大臀筋下部、ハムストリングス上部、脊柱起立筋を強化することによってバランス能力が改善します。
術後のバランス不良に悩んでいるPTさんは参考にしてください。
理学療法士さんもしっかりと手術の内容は理解しておいてくださいね。