下腿外旋症候群に対する評価〜治療〜エクササイズ!変形性膝関節症の治療に必須の考え!!

目次

下腿外旋症候群とは?

具体的には、屈曲域での下腿外旋、伸展域でのわずかな下腿外旋、そして伸展域での脛骨外方偏位を示す症候群のことである。

膝が痛い・曲がらない・伸びない変形性膝関節症やACL損傷術後、半月板術後にもよく見られる膝のアライメント。

キネマティクス的には

  1. 下腿外旋位
  2. 下腿外方偏位
  3. 膝蓋骨外方偏位

といった順番。主に大腿外側の組織(大腿筋膜張筋、外側広筋、腸脛靭帯、外側広筋)が緊張を高めてFTjoint・PFjointどちらにも悪影響を及ぼす膝の状態。

絶対に修正したい膝の状態だ(/ _ ; )

もちろんスクリューホームムーブメントやextension lagにも繋がる不良アライメント。

膝OAの重症度とキネマティクス

膝OAは進行すると

  • 脛骨の外旋角度増加
  • 膝内転角度増加
  • 脛骨前方移動の現象

が起こることも覚えておいて欲しい。

 

歩行時の下腿の回旋について

健常人の70.6%が距骨下関節回外位で踵接地を行い29.6%が距骨下関節回内位で踵接地すると言われています。

運動連鎖から考えると

  • 距骨下関節回外→下腿外旋
  • 距骨下関節回内→下腿内旋

ですね。

実際の研究では

①下腿外旋-下腿内旋の(2 times of rotation)パターン(5例)
②下腿内旋-下腿外旋-下腿内旋の(3 times of rotation)パターン(2例)
③踵接地から立脚中期まで常に下腿外旋位である(1 time of rotation)パターン(2例)

引用:踵接地から立脚中期における下腿回旋角度と膝関節内反モーメントの関係

に分類できたようです。下腿の回旋角度と内反モーメントは中等度の相関関係にあるので。回旋をコントロールすることは膝のストレス軽減につながります。

膝関節の内反モーメントの減少のためには外側のアーチ構造を保つことが大事です。

下腿外旋症候群に影響を当たる関節

足関節

特に距骨下関節の回内・回外の制限。運動連鎖的には距骨下関節が回外で下腿も外旋されるのが普通だが、臨床上は回内でも下腿が外旋していることは多々ある。→運動連鎖についてはこちら

膝関節

脛骨の内旋制限。つまり外旋位でアライメントが固定されることが問題。同時に腓骨も後方に引っ張られている場合が多い。

股関節

股関節が外旋位で固定されることが問題。股関節の外旋筋群が硬くなっている場合が臨床上多い。

骨盤〜脊柱

骨盤後傾が問題。脊柱に関しては総合的に後方に重心変位していることが問題。

 

考える臨床の順序としてはまずは局所の膝。次に遠位の影響を探っていくといった感じにしよう!膝は足関節と股関節の中間関節なので上下からのストレスを受けやすい。

 

下腿外旋症候群の評価

具体的な動画はこちら↑↑

数値だけであれば脛骨は40度外旋・10度内旋(端座位で膝関節90度屈曲位)。

臨床上は主観的な評価が大切になるので以下の方法を紹介↓

脛骨内旋可動域の評価(背臥位)

  1. 膝関節20〜30度屈曲位で、相手の力を抜いてもらう
  2. 他動的に脛骨の内旋可動域を評価(主観でOK)
  3. 健側と患側の左右差を確認

脛骨内旋可動域の評価(腹臥位)

  1. 腹臥位で膝関節20〜30度屈曲位
  2. 他動的に脛骨を内旋させる
  3. 健側と患側の左右差を比較

触診・視診

ポイントは5点。

  • 大腿骨外側上顆
  • 大腿骨内側上顆
  • 脛骨粗面
  • 腓骨頭
  • 脛骨内側顆

この5点を触診しながら膝の屈曲・伸展を行ってもらう。

スクワットテスト

荷重した時にどのように脛骨が回旋するかを評価。ポイントは上記の5点を評価するが、一番の指標は脛骨粗面がわかりやすい。

下腿外旋症候群の治療

膝関節後方組織のリリース

問題となるのは主に後方の膝関節筋。

  • 外側ハムストリングス
  • 大腿筋膜張筋
  • 外側広筋
  • 腓腹筋外側頭
  • 総腓骨神経
  • 後方関節包

このあたりの軟部組織が硬くなり脛骨の内旋を制限する。後方には様々な組織が交差するので、交差ポイントでの癒着が起こりやすい。丁寧に組織の間をリリースしてあげよう。

癒着を剥がしたら筋肉のストレッチ・再教育をする必要がある。膝関節の可動域制限因子も参考になる。

膝関節前方〜側方のマッスルバランスの調整

下腿が外旋位に固定されるということは膝関節屈曲・膝蓋骨外側変位を引き起こすことが多い。

  • 膝蓋下脂肪体
  • 外側広筋
  • 大腿筋膜張筋
  • 膝蓋上嚢
  • 腓骨筋

このあたりが動きが悪くなってしまい、結果的に下腿の外旋症候群を治しにくくしてしまう。膝関節周囲の軟部組織は十分に柔軟性を保つことで膝を良い状態に保つことができる。

脛骨内旋エクササイズ

このエクササイズを行う前に脛骨の内旋制限を改善しておくことが大切。

  1. 膝関節90度屈曲位
  2. 脛骨だけを内旋させる(膝が動かないように注意)

 

膝関節以外の要素

膝関節以外の要素については以下の通り。

  • 脊柱の後弯、骨盤後傾アライメント
  • 股関節外旋筋の短縮、内旋筋の弱化
  • 足部の距骨下関節の制限

これらの特徴があるので局所の治療・エクササイズが終わったらこちらも修正しておこう。

特に荷重下になると膝関節以外の要素の影響が大きくなる。

「膝のROMは良くなったけど、荷重時の痛みが変わらない。。」というのは全体の問題で下腿外旋が引き起こされているサインかもしれない。

下腿外旋のセルフケアにはリアラインシューズがオススメ

もちろんセラピストの細かい評価や治療も大切だ。

効果を持続的に、かつセルフで行いたい場合はこちらのリアラインシューズがオススメ↓

リアライン・バランスシューズ 膝関節用

うまいことできているシューズです。足関節が回内・回外の中間位で維持しないと倒れてしまうようにできています。つまり下肢をまっすぐに保つことでエクササイズをして下腿の外旋を改善させるためのツール。

これを開発した広島国際大学の蒲田先生が下腿外旋症候群を唱えていますので、先生の本は勉強になります↓

 

下腿外旋症候群のまとめ

  • 膝関節の不良状態の多くに下腿外旋症候群がからんでいる
  • 下腿が外旋する原因を把握する(膝だけでなく全体も)
  • 下腿外旋の評価〜治療〜エクササイズを丁寧に行う

 

膝関節を知るためには下腿の外旋という概念がとても大事になる。

明日からの臨床では下腿の外旋をしっかり評価してみよう!

もっと膝について知りたい人は→膝関節ノウハウがつまったnote

→膝OAに対する3つの運動療法

 

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次