複雑な足関節を超シンプルに理解する3つポイント!

複雑な足関節を超シンプルに理解する3つポイント!


どの関節においても
「ああこの状態になったらゴールだなぁ」というものを決めています。

足関節においては3つです。

1踵骨・距骨の動きの自由化
2底屈・背屈可動域制限
3足趾の自由化


この3つをゴールに追いて全ての足部疾患をみています。

あれ?アキレス腱のストレッチしても伸びない・・
あれ?タオルギャザーしても変わらない・・
あれ?底屈って全然みてなかった・・

という人はぜひみてください。悩みがスパッと解決します。

ではどうぞ!!

目次

1踵骨、距骨の動きの自由化


足の体重の2/3がここにかかります。
つまり足部の土台です。
でもこいつは複雑です。

まず踵骨から説明しますね。


踵骨は下腿三頭筋〜アキレス腱〜足底腱膜のheel cordによって位置関係が決まります。

スクリーンショット 2020-06-04 10.10.23


・下腿三頭筋〜アキレス腱が硬いと→踵骨は前傾、外反傾向
・足底腱膜や足底周囲筋が硬いと→踵骨は後傾、内反傾向


になります。

どちらが良い悪いではなく。


ストレスがかかっている部位を特定するために使う知識ですね。


どの関節も同じですが、「ある一定のアライメント以外取れない」がメカニカルストレスの問題になります。

例えば足底腱膜や足底周囲筋が硬くて踵骨が後傾、内反傾向で→いつもジャンプした後に内反捻挫しやすい。

ということがあれば、それを修正するために足底腱膜や足底周囲筋をリリースするのはGoodです。つまり相手の症状と主訴に踵骨の制限が問題となるなら治療しましょう。


次に距骨です。距骨は複雑な動きをします。

スクリーンショット 2020-06-04 10.14.19


背屈時には内旋します。底屈時には外旋します。(ATFLが損傷すると最大背屈時に過度な内旋が起きてインピンジします)

微妙に底屈・背屈もしますが。

それよりも回旋の方が大事です。回旋の動きを失う時の多くは距骨前後組織の問題です。


距骨の前・後の軟部組織制限因子の基本的なポイントは以下の通り。

スクリーンショット 2020-06-04 10.22.19


・距骨前方組織=前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋、伸筋支帯
・距骨後方組織=脂肪体、長母趾屈筋、アキレス腱

どちらの組織も固さがあると距骨の動きを妨げます。


前方が硬いと底屈時に滑走しないし、背屈時に前方のインピンジに繋がり、後方が硬いと底屈時に過剰な前方滑りが起きるし、背屈時には後方滑りが起こらなくて前方でインピンジします。


距骨には筋肉が付着しないので、筋肉のトレーニングでコントロールするのは難しいです。それよりも軟部組織を整えてアライメントを変えていく方が効率良いです。


で。


これら2つの骨が自由に動くことでST関節の動きが正常に働きます。

皆さんご存知の通りST関節が下腿の動きと連鎖します。


一定の動きしかできない足部の土台→距骨・踵骨の動きの制限
です。

これをしっかりと修正してあげましょう。

足関節の最初の治療戦略としては「土台」である踵骨と距骨の動きに偏りがない状態を作ることです。


2底屈・背屈可動域の改善動画


次に底屈・背屈のROMの角度を広げる+正しい骨運動を導くことが大事になります。ROMの数値だけではなく、背屈や底屈に必要な要素がしっかりと起こっているかどうかが大事です。


背屈のメカニズムとしては

・距骨下関節の回内
・距骨の内旋
・距骨の後方滑り
・踵骨の背屈
・ショパール関節の外返し
・足底周囲の柔軟性(内側縦アーチの柔軟性)
・MTP関節の背屈
・遠位脛腓関節の離開


これらの要素が必要になり、底屈は逆です。


臨床あるあるですが。

・アキレス腱ストレッチで背屈ROMが変わらない
・正座しても底屈ROMが変わらない

は底屈と背屈のメカニズムを知らないからです。


これをちゃんと治療できるようにしましょう。


ROMが改善したら→フルレンジで底屈と背屈の運動をしましょう。筋力がないと維持できません。特にエンドレンジの収縮は必須です。

一般の方向けの動画でほぼ解消できます↓

土台が整い、背屈と底屈が整ったら、最後に末梢の足先をみましょう。


3足趾の自由化

この足趾が自由に動くことはとても大事になります。


そもそも論で考えてみても。
・足趾が浮いている(浮き指。これは特に女性の小指に多いです)
・足趾の筋力がMMT5じゃない(筋力低下)

は機能的な支持基底面を狭くします。


足部の支持基底面が狭いということは足部からの感覚入力が減ります。
人間の立位時の感覚入力の大部分(70%)は体性感覚である足部からです。


その足部からの入力情報が減るということは立位バランスが低下し、姿勢の異常な緊張を生みやすくなるということです。


実際の論文レベルとして

・足趾の屈筋筋力は歩幅と相関する
・足趾の屈筋筋力は姿勢の安定性と相関する
・片足立位と足趾の筋力は相関する
・高齢者の転倒と足趾筋力は関連する


ということはわかっています。


つまり足趾は十分な可動域と同時に筋力が必要になるということです。
足趾屈伸筋群の強化とストレッチは足部機能全体を向上します。

ここでよくやってしまうのが「タオルギャザー」です。もちろん悪くないのですが。まず可動域をしっかりと広げましょう。指を広げて、アーチを作って床にちゃんと足趾が床に着くようにしましょう。


シンプルに


1足趾がフルレンジで屈曲・伸展ができるか
2足趾MMT5あるか
3立位をとったときに足趾の代償運動や浮き指がないか


をチェックしましょう。


最終的には立位でしっかりと指が地面について、指の筋力がMMT5までアップさせることが大事になります。


また、足趾を考えるときに「1列」は大事です。
1列は母趾の運動であり、母趾は足趾の中でも大きな可動域を占めます。


運動連鎖として考えるときも1列は距骨下関節、ショパール関節と逆の動きの代償をします。つまり1列の動きが止まってしまうと距骨下関節、ショパール関節にも影響を及ぼすということを覚えておきましょう。

まとめ

足関節は骨や筋肉が多い複雑な関節です。だからこそ1つ1つゴールを埋めてみてください。

・土台の踵骨、距骨の動きを自由にする
・距腿関節の背屈、底屈可動域の質をよくする
・最後に足先を見て機能的な支持基底面を広げる


これだけでかなり足部はクリアになっていくと思います。
人間の体を複雑にしようと思えばいくらでもできるのですが、それはかえって頭を混乱させます。しっかりとゴールを立ててあげましょう。

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