ACLの手術方法についてです。
私の個人的な見解として
今日本で主流のST腱を利用した方法はあまりオススメしません。
BTBを使用した方が良いと考えています。
(スポーツ特性や人の身体特性にもよりますが…)
なぜならACLリハビリで大腿四頭筋にこだわってはいけないからです。
だからこそBTBを使用した方法が復帰には有利なのです。
???と思う方こそ考えてみてください。
なぜACL損傷の方に対して大腿四頭筋を重視してはいけないのか?
ST腱よりもBTBが優れているのか?
<ST腱のデメリット>
日本のACLの手術の多くはST腱を使用していることが多いです。
メリットとしては
・腱の採取が用意
・伸展筋力低下が少ない
・合併症が少ない
などなどたくさんありますが…
私が一番怖いことはST腱の筋力低下です。
基本的な大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比は
2:1(大腿四頭筋とハムストリングス)です。
圧倒的に大腿四頭筋が強いのです。
ハムストリングスが弱く脛骨の前方制動を制御出来ないので
ACLを切ってしまうのです。
この筋力比を更に加速させてしまうのがST腱採取のACL手術です。
つまりACL損傷をして手術したにも関わらずACLを切りやすい状態に
変化してしまうのです。
これらはある概念がそうさせています。
「ACLリハビリ=大腿四頭筋の筋力アップ」
この概念をもう一度考えなければいけません。
<BTBのメリット>
ではBTBを使用するメリットとしては
・ハムストリングスの筋力保持
・大腿四頭筋の筋力低下
これらがうまく組み合わさると
筋力比が良い感じになります。
今までのACLの文献では圧倒的に大腿四頭筋が重視されてきました。
しかしいくら大腿四頭筋を鍛え上げても再断裂を起こす人はいます。
そもそも焦点の当て方が異なるのです。
筋力の出力や大腿四頭筋に目を向けていても改善しないのです。
だからBTBのように伸展筋力を落としてあげると良いのです。
エンジンの主電源を大腿四頭筋から違う筋肉に切り替えることが大切です。
<ACLの復帰の要素>
ACLの復帰については筋力の出力だけ比較していてもダメです。
あくまで1つの要素なのです。
BIODEXで筋力のパーセンテージが80〜90%だ…
というのはACLを切る前の身体状態に近づけただけです。
ということは再断裂を起こす確率は変わらない・もしくは増加している
ことになります。
大切なのは筋の出力だけではなく
・持久力
・心肺機能
・動作方法
・身体作法
・身体意識
・筋の収縮形態
・筋の柔軟性
・各関節の運動幅(脊柱・上肢・下肢)
・靭帯の成熟度
・疼痛の有無
・俊敏性
・パワー
・スポーツ動作の技術
などたくさんの要素で成り立っているということです。
我々が対象にしているのは「人」です。
ACLを切ったロボットではないのです。
要素を絞りすぎず幅広く考え
なぜACLを切ってしまったのか?
これを考えてリハビリテーションを進めなければいけません。