腰痛って難しいよね( ´ ▽ ` )
てなわけで腰痛の訴えからどんなことを考え、どういう特徴があるのか?
評価を中心にまとめてみる。特に今回は非特異的腰痛をどうやって考えるかを中心に!!
85%の非特異的腰痛はセラピストが対処すべき
まず最初に知っておいて欲しいことは85%の腰痛は原因がわからない。画像上明らかに診断できる腰痛ではないということ。
さらに痛みと画像所見も相関しないのも大切な事実。
<腰痛の画像所見と症状は相関しない>
びっくりしないでね。
腰痛の理学療法診療ガイドラインに書いてあるからね↓
「腰痛の症状,病態,および放射線学的所見はほとんど相関しない。疼痛については,約 85%の人で病理学的または神経学的な侵害刺激に起因するものではない。」 pic.twitter.com/0PczPPzfgP
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2017年8月17日
だからこそ85%の腰痛はセラピストの治療が適応する場合が多い。
腰痛のレッドフラッグは?
red flagとは見逃してはいけない徴候や症状のこと。
つまりリハビリが適応にならない場合です。医師が診断するのでセラピストは必要ない?いや知識として知っておくことは大事です。
- 発症年齢が20歳未満か55歳超
- 悪性腫瘍の病歴
- 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
- 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
- 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
- 広範囲における神経症状
- 胸部痛
- 脊椎叩打痛
- 身体の変形
- 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ全般的な体調不良
- 体重減少
- 腰部の強い屈曲制限の持続
- 発熱
- 膀胱直腸障害とサドル麻痺
このような症状がないかどうかしっかりと問診でチェックしましょう。
腰痛の診断
→腰痛の診断は腰痛診療ガイドライン2012をチェックしてみてください。
こんな感じで診療を行うので、非特異的腰痛に分類されるのは
- 危険信号なし
- 神経症状なし
の場合。
この場合に4〜6週間の保存療法を選択するわけです。
ではセラピストはこの4〜6週間で何をするかが大切なポイント。
腰痛を引き起こす組織は?
- 筋肉:筋性疼痛では筋緊張が高い
- 椎間関節:椎間関節に圧痛がある。深層を触診
- 椎間板:画像所見と理学所見で判断
- 皮神経:痺れや関連痛
- 仙腸関節:上後腸骨棘周囲の圧痛
- 椎体:画像所見から判断
- 椎体終板:画像所見から判断
などがある。
「腰が痛い!腰痛!」というのは1つの症状。その原因を深く追求してアプローチすることが大切!
このような腰痛には筋力低下・不良姿勢・拘縮が絡んでいるという基礎も覚えておこう。
姿勢やアライメントから考える腰痛
腰をみるときには過度な前弯・過度な後弯タイプにわけよう。これはある程度病態予測ができるようになるから。
さらにそこから姿勢分類をしてマッスルバランスの予測をしよう。
過度な前弯が引き起こす病態
- 椎間関節障害
- 脊椎分離症
- 仙腸関節障害
- 脊柱管狭窄症
- 椎間板症
いわゆる反り腰の人。反っているから椎間関節に負担がかかりやすく、さらに脊柱管が狭くなるので狭窄症も引き起こす。
年齢的には若い人が多くなりやすいタイプの腰痛であるとぼくは考える。
伸展は特にL5/S間で過度に引き起こされるのも特徴。
過度な後弯が引き起こす病態
- コンパートメント症候群
- 椎間板症
- 仙腸関節障害
- lumber-hip-knee syndrome
猫背の人が多いので現代人の腰痛はこちらのタイプが多い。変性後弯が進むと筋内圧が上がって痛みを生じてしまう。
姿勢分類を考えると
- Kyphosis-lordosis
- flat back
- sway back
の3種類にわけることもできる。
さらにさらに、この姿勢から頭部ー脊柱ー骨盤ー大腿骨の位置関係を理解することで腰椎への負担が理解できるようになるのだ〜( ´ ▽ ` )
腰の疼痛部位と原因組織
背部に痛みが出る組織
- 腰椎筋膜
- 脊柱起立筋
- 棘上靭帯
- 棘突起
- 椎弓
- 棘間靭帯
- 硬膜外の脂肪組織
- 椎間関節
- 線維輪
臀部に痛みが出る組織
- 前後の硬膜
- 圧迫下神経根
- 正常神経根
- 椎間関節
下肢に痛みが出る組織
- 後方の硬膜
- 圧迫下神経根
- 正常神経根
とてもシンプルに。「いろんな所に痛みが出るんだ〜(^ ^)」ってことは知っておこう。
これは機能解剖学的に腰椎の近く部位やかなり入り組んだ構造をしているから。特に侵害受容器は椎間関節内尾側や辺縁部、関節突起の付着部に多く分布する。
だから椎間関節周囲の痛みは関節内だけでなく周囲の筋肉や神経にも痛みを伝えるってこと。
複雑な痛みだからこそシンプルに
上記で説明した通りかなり複雑な疼痛メカニズム。
だからこそシンプルに。
- 痛みのでる姿勢・楽になる姿勢
- 痛みが楽になる動作(屈伸?側屈?回旋)
これを評価することが大切。というか痛みの緩和と増強する姿勢やストレス方向が分かればそれが答え。
楽になる方向へマッスルバランスを変化させ、日常生活のメカニカルストレスを変化させてあげれば良い。
腰椎の機能解剖をわかりやすく理解する
とっても簡単に腰椎を説明すると
- 屈曲、伸展の動きが得意
- 回旋の動きは少ない・苦手
- 屈伸の動きのメインはL4・L5・S1の下腰椎
です。
つまり屈伸以外の要素を腰椎に与えると壊れちゃうよってこと。これ大事!
じゃあちょっと詳しく。
腰椎の苦手な動きは?
関節の大原則。苦手な動きを強要すれば壊れる。
腰痛に関してもっとも可動域が少ないのは「回旋」
たったの5°だけ。しかし屈曲位や側屈が加わると腰椎の回旋は容易になる。
これはどういうことか?
- 猫背姿勢で腰椎が屈曲位になる
- 腰椎が過剰に回旋する
- 腰椎へのストレス↑
- さらに側屈が加わった運動を加えれば腰椎ストレス↑
と、不良姿勢がなぜ腰痛になりやすいかの1つの例である。
通常の腰椎の肢位に屈曲や側屈要素が加わると過剰な動きを伴うようになる。
他にも胸椎の可動域が制限されると腰椎の過剰な運動が要求されてストレスを加えやすくなるということも覚えておこう。
腰痛防止のために硬くなってはいけない部位と筋肉
簡単に。まずは骨盤周りに付いている筋肉。
- 腸腰筋
- 大臀筋
- 中臀筋
- 股関節外旋筋
- 大腿筋膜張筋
- ハムストリングス
・・と股関節〜腰椎に付いている筋肉。
これらの筋肉が硬くなると骨盤や腰椎の動きに制限が起こる。そのまま動きを加えていれば腰椎が過剰なストレスが加わるのは想像しやすい。
股関節と仙腸関節:腰椎の可動域の割合は7:4。
だから股関節周囲の可動域改善は腰の疾患には必須。
次に胸椎の動きを止めてしまう筋肉
- 腹直筋
- 大胸筋
- 小胸筋
- 上腕二頭筋
- 僧帽筋
- 広背筋
- 脊柱起立筋
- 菱形筋
- 横隔膜
・・と胸椎や肩甲骨周りの筋肉。考え方によってはもっとあるかもしれない。そこは勉強しましょ( ´ ▽ ` )
インナーマッスルを鍛えよう!動画で解説!
これもシンプルに。
- 腹横筋
- 多裂筋
- 横隔膜
- 骨盤底筋群
この4つの筋肉が筋力低下を起こしていることが多い。わかりやすいのは腹横筋と多裂筋。
腹横筋が弱化していると
- 肋骨の浮き上がり
- 骨盤後傾が随意的にコントロールできない
- 腰椎が前弯しやすい
といった所見がみられる。
多裂筋は弱化と同時に拘縮を起こすことが多いので
- 骨盤が前傾も後傾もできない
- 腰椎のコントロールができない
といった感じ。多裂筋に関しては下位腰椎の位置で触診できるので圧痛や筋肉の硬さも評価できる(L4〜)
体幹の評価動画↓
腹横筋エクササイズ↓
多裂筋エクササイズ↓
ちなみにこのあたりのエクササイズは断然ピラティスが強い。
非特異的腰痛に対する評価治療戦略の順序
腰痛は難しい。いろんな要因が入り組んでいる。だからこそ戦略を立てていくことが大切。
じゃあ簡単に順序を示すよ。
- 病態を評価。red flagかどうかをまずは判断。(医師が担う部分でもある)
- 痛みがでる姿勢・メカニカルストレスを評価(屈伸?側屈?回旋?)
- 痛みが楽になる姿勢・メカニカルストレスを評価
- 腰椎のアライメント、姿勢、各関節の位置関係を把握
- マッスルバランスを評価(短縮・弱化筋を把握)
- 痛みの出ない方向へマッスルバランスを整えていく
- 多くの場合胸椎・骨盤・股関節周囲筋が硬くなっている
- さらにインナーマッスルを評価。弱ければトレーニング。
- 再評価
てな感じです。もちろん細かい部分を言えばキリがないのです( ´ ▽ ` )
でもシンプルに。
現代人の腰痛の多くは筋力低下と可動域不足がほとんど。
だから痛みを分析して痛みを分散できるように動くポイントを増やしてあげればいい。
あとは日常の生活を変化させることもめちゃくちゃ大切( ´ ▽ ` )今の日本人の座っている生活は腰痛を引き起こすトリガーであることはいうまでもない。。よね!