patella setting出来ていますか?正しい方法と間違った方法を動画で説明!

今回のテーマは「patella setting」です。

「はい!膝を押し付けて〜10回くらい頑張りましょう!」

これではpatella settingの効果はイマイチです。

学生や新人理学療法士さんも日頃から活用しているこのリハビリメニュー。
しかし、多くの患者さんはこのトレーニングが出来ていません。

ついつい間違った方法でトレーニングしてしまいがち。
間違った方法と正しい方法、さらに効果を引き出すpatella settingについてお話します。

目次

patella settingとは?その効果は?

patella settingとは膝の伸展トレーニングメニュー。
特に最終伸展域で内側広筋が働くことがメリットとしてあります。

そもそも膝という関節は完全伸展しないと安定しない関節。靭帯依存が強い関節なので。

歩行時や荷重時に伸展0°までいかないとそれだけで膝関節に負担がかかります。たった5°伸展制限があるだけでもダメです。

それ故、patella settingは最終伸展域での筋を働かせるための重要なトレーニングになるのです。

<patella settingの効果>

  • 内側広筋の萎縮防止
  • 膝の伸展可動域の確保
  • 膝蓋骨の癒着防止
  • 筋肉の再教育(特に伸展)

 

<patella settingが有効な人>

  • 膝伸展可動域制限がある人
  • 大腿四頭筋MMT5以下の人
  • 膝蓋骨の動きが悪い人(特に内側への動き)

つまりACL損傷や変形性膝関節症、術後の人に効果的な運動です。

また関節運動をあまり起こさないので、痛みが少なく早期から実施できることがメリット!

特に関節運動を制限されている人には重要なトレーニングですね!

→patellaの動きを機能解剖学的に知りたい人はこちら。

patella setting 臨床上よくある間違った方法

内側広筋が働かずpatellaが内上方に動いていないpatella settingが非常に多いです。
つまり見かけだけpatella settingだけしているようなトレーニングです。
膝関節の伸展を大臀筋で代償する方や全く膝蓋骨が動いていない人が多いです。

setting時にpatellaと内側広筋を触診して動きが伴っていなければそれは間違ったトレーニング。
やり続ければマイナスの学習になります。
また研究としては膝軽度屈曲位からのsettingよりも伸展位からの収縮の方が内側広筋が働きやすいとも言われています。

patella settingの回数はどれくらいが適当?

目的にもよります。

自然歩行1万歩に対して内側広筋においては

  • SLR1200回
  • patella setting 400回

が同じ活動レベルになる。

つまり入院中、特に臥床期間中の人に内側広筋の萎縮防止をするためにかなりの運動量が必要になるということです。

「はい、10回パテラセッティングやりましょう!」

では筋力を維持、萎縮防止という目的では意味ありません。

適切な量をしっかりと理解しましょう!

SLRとpatella settingの違いは?

では同じ膝の伸展筋力を鍛えるSLRとの違いは何でしょうか?

レバーアームの違いと関節運動を伴うかどうか、働く筋肉が異なります。

SLR patella setting
レバーアーム 長い(膝の負荷↑) あまり関係ない
関節運動 伴う あまり伴わない
使う筋肉 大腿直筋優位 内側広筋優位

 

ぼく個人的にはあまりSLRは行いません。レバーアームも長く痛みを伴いやすいからです。

代償動作も強くなるので内側広筋を意識させるのであればpatella settingの方が良いでしょう。

全体的な膝伸展筋や活動量を増やすためにSLR訓練は適しています。

 

どうすれば正しいpatella settingを学習させることが出来るか?

方法は簡単。

  1. patellaを触診、下方に引き下げる
  2. この状態でpatellaに牽引が加わるため、内側広筋が働きやすくなります。
  3. 股関節の内旋+内転を加えると大内転筋から内側広筋の筋連結が働き、正しい収縮を学習しやすくなる。更に、足関節の背屈をプラスすると同様に大腿四頭筋が働きやすくなる。

これらを繰り返し、患者さん自身に正しい筋収縮を学習させることが非常に大切です。

あまりにもオーソドックスなトレーニングメニュー。ないがしろにしやすいのですが正しく決まると非常に効果的です。

extension lagを改善するためにも重要な伸展域での筋力強化

膝関節疾患であれば問題となる伸展域での筋出力不足「extension lag」

その改善方法は単純だが、一つ一つ丁寧に行う必要があります。

  1. 膝関節を伸ばす(他動)
  2. 膝関節を伸ばす(自動)

いや・・本当に単純に書きました。でもこれができないんです。しっかりとストレッチや徒手的な操作はみんな好き。
でもそのあとの自動運動が適当すぎる。

しっかりと伸ばした後に、伸ばした可動域の中で膝の伸展運動を行うことが大切!

新たに獲得した関節可動域に関しては伸ばした経験がないから、伸ばし方がわかりません。だから適切なpatella settingが重要になるのです。

→もっと詳しくExtension lagの原因はこちら

骨盤の前傾を伴うpatella settingが有効(動画あり!)

そして私がさらに強調しているのは「骨盤の前傾を伴ったpatella setting」

その理由は以下の通り

  • 膝蓋上嚢の癒着を剥がす為に大腿直筋を抑制したい(骨盤後傾ではRFが代償しやすい)
  • ハムストリングスが伸びる
  • 腸腰筋が働き、ハムストリングスにIa抑制が働く→ハムが伸びて、腸腰筋が機能的に働く
  • 股関節と骨盤を主導にするため、膝関節戦略の動きから股関節戦略へと変化させる

ACL損傷や膝OA、TKAの患者さんには正しく早期にatella settingを指導することが膝関節の安定化に繋がります。
明日からの臨床でも膝の動きを良く見て感じてください。

さらに下肢の臨床を知りたい方はこちら→吉田の臨床note(随時動画更新)

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