5月29日にTBM education「スポーツにおける運動連鎖」にて
講師を担当させていただきました。
講師はTBM代表の唐澤と吉田。
二人が共通して感じていたこととは・・
「運動連鎖は思いとおりにならない・・」という臨床の現実
その中でも2人が考えている運動連鎖のポイントは何か??
参加された方の復習にもポイントをおさらいしておきます。
上行性・下行性運動連鎖とは何か?
上行性運動連鎖:足部から骨盤への連鎖
下行性運動連鎖:骨盤から足部への連鎖
一般的な下行性運動連鎖
一般的な下行性運動連鎖はこのようになります↓
文献や研究方法にもよりますが大方このように記載されていますね。
運動連鎖の一番の問題は・・
運動連鎖という歯切れの良い言葉だけ一人歩きしています。
何かあれば運動連鎖・・という感じで片付けられてしまう。
実際の受講者の悩みとしては
「運動連鎖はわかっているけど
どうやって臨床に生かしたらいいかわからない」
これが大きな悩みになっていました。
運動連鎖通りでなくてもいい
では正しい運動の連鎖とは一般的な運動連鎖のことなのか?
私は臨床をしている中で疑問に思っていた点でもあります。
実際に運動連鎖通りにならない変形膝関節症の人にもたくさん出会いました。
インソールも思い通りにならないこともたくさんありました。
今考えている運動連鎖の考えとしては
「固定的な1つのパターンでの運動連鎖は良くない」
ということ。
knee-inが悪い?良い?
これも一つの運動連鎖である。
しかしknee-inという現象だけ見ているだけでは不十分。
固定的なパターンでのknee-inかどうかが重要です。
NBAのプロバスケットボール選手もシュートの時はknee-inしています。
理由の一つとしてknee-inすることで骨盤が前傾し
股関節優位のジャンプができるようになるからです。
ただこの選手は常にknee-inするのではなく
シュートの時だけでknee-inを選択することができるのです。
・knee-inしかできない
・knee-inもできる
これは大きな違いです。
運動の選択ができるという点で連鎖のパターンが多い方が良いと考えています。
下行性運動連鎖の起点となるのは〇〇筋
では運動連鎖はどこから始まるのか?
骨盤という枠組みだとかなり広いです。
もっと絞ると「大腰筋」が重要になると思います。
その理由をさらに深く知りたい人は
高岡英夫先生の究極の身体を読むと理解が深まります。
大腰筋は背骨を動かす中心の筋肉。
魚や四つ足動物の時代から発達してきた筋肉。
体の中心から手足を動かす波動を作るにはこの筋肉が重要になります。
大腰筋の3つの評価ポイント
これは実際に私が評価しているポイントです。
当日に行ったのはあくまで私の評価手段です。
目的を達成するためにはどのような方法でも良いです。
十分に体の中心の筋肉を評価することが重要になります。
横隔膜と大腰筋の連結
一般的に下行性運動連鎖は骨盤から下への影響が示されています。
では骨盤より上の問題って関係ないのか?
もちろん関係あります。
そもそも大腰筋と横隔膜は連結しています。
つまり肩甲胸郭関節と大腰筋も関係しているということです。
上半身のねじれが下半身に伝わる。。単純ですがそういうことです。
トリプルローテションサイクル
これは私の造語ですが・・
人間には3つの回旋のサイクルがあります。
縦・横・斜め
この3つのサイクルを使いこなすことができると
人間の体は綺麗な連鎖を生み出します。
一流のスポーツ選手の動きを分析するとわかります。
しなやかな背骨の動きが連動する様子が。
参考書籍
まとめ
連鎖をわかりやすくする3つのポイント
・運動連鎖のパターンを固定化しない
・大腰筋を評価する
・トリプルローテションサイクルを作り出す
複雑な用語で、運動を複雑に捉えてしまう「運動連鎖」
確かに専門家同士で語り合うには便利ですが
我々の対象はあくまでも選手や患者さん。
如何にしてわかりやすく伝えるかも大切。
これらのことができれば運動連鎖は簡単に見えてくるかもしれませんね!