筑波大学にてアスレティックリハビリテーションの勉強会がありました。
大変参考になることばかりだったので早速アウトプットします。
私が一番共感したことは
「スポーツ科学と現場のギャップ」
これはスポーツ現場に関わるスタッフなら誰でも感じることではないだろうか
アスレティックリハビリテーションで重要なこと
怪我をしてから社会復帰するまでをメディカルリハビリテーション。
競技復帰までをアスレティックリハビリテーションと呼びます。
しかし重要なことが1つ抜けています。
それは
限られた時間内で競技復帰させること。
選手の大会や試合にうまく合わせていかないといけない。
もしそれが100%じゃなくても。。
トレーナー目線だけでなく、監督や選手の目線から考える。
復帰という意味を深く考えないといけないのです。
トレーニングを考案するために必要な2つの分析
トレーニングプログラムを立てるためには2つの分析が必要です。
それが競技特性と身体特性の分析です。
1競技特性の分析
選手の競技にはどんな特性があるのか?
例えばサッカーと陸上競技の短距離を比較してみましょう。
サッカーは対人のチーム競技。
相手よりも点が多ければ勝てる競技。
相手だけでなくチームメイトの関係性や相性も影響する。
一方、陸上競技の短距離においてはいかに速く走れるかが重要。
サッカーとは異なり個人競技。
相手は横にいるがサッカーよりも同条件が整えやすい競技。
フィジカルの要素がスキルよりも高くなりやすい。
っと簡単に現すとこんな感じです。
さらに細かくすると
・動作分析(関係する筋、筋収縮、収縮スピード、関節角度)
・生理学的分析(筋力、パワー、筋持久力)
・エネルギー代謝分析(ATP-CP系、解糖系、有酸素系)
なども考慮する必要があります。
2選手の身体特性分析
担当している選手はどんな身体の癖や特性があるのか。
筋力が強いのか
可動性が低いのか
スキルが高い選手なのか
メンタルが強い選手なのか
どんなプレースタイルなのか
などなど
キリがありませんがたくさんあげる必要があります。
この2つの分析を細かく徹底して行うことで
選手のニーズ分析ができるのです。
競技による障害分析
競技特性を知る上でどんな怪我が多いのかも重要。
今回はスピードスケートを例にします。
・スピードスケートは急性外傷が7割、慢性障害が3割。
・急性外傷は陸上のトレーニング時に関係するものがほとんど。
・一番多いのは足関節捻挫。
・選手のマッサージ部位別では臀部や大腿後面にハリが出やすい
・脊柱のアライメントは必ず崩れる
・筋力の左右差が出る
といった具合に科学的なデータがすでに膨大にあります。
このデータを活用しないのはもったいないです。
データから考えて、競技にはどんなストレスがかかるのか。
障害が起こりやすい部位はどこなのか。
どの筋肉を使い、どのようなバランス能力が必要なのか。
このようなことが予測できます。
数値は嘘をつきません。
しかし数値だけを鵜呑みにするのも注意が必要です。
パフォーマンスを決定する3つの依存度評価
フィジカル・メンタル・スキルの依存度が選手によって異なります。
フィジカルが弱くてもスキルが高い代表選手だったり、
逆にメンタルが弱くてもフィジカルで何とかなる選手もいます。
つまり3つの要素のうち、選手はどこの依存度が強いのか。
どのようなバランスから総合的なパフォーマンスを決定しているのか
分析する必要があります。
トレーナーだからフィジカルだけなんとかすれば・・という現状ではないです。
スポーツパフォーマンスは本当に複雑な関係から構築されているのです。
理学療法士が苦手なトレーニング立案方法
トレーニング立案に関しては理学療法士さんは苦手です。
学校では習わないし、スポーツ選手をみる機会も
メディカルリハビリテーションの時期が多いからです。
怪我した選手のトレーニングをどのように段階的に変化させていくか。
正解はありませんが
・障害部位へのストレス評価
・トレーニングの原則の理解
・パワー、スピード、筋力、持久力の関係
・目的別の負荷・回数の設定(肥大、パワー、持久力、スピード)
・エネルギー供給機構の理解(ATP-PC、乳酸、有酸素)
・筋肉の収縮様式、関節角度
・マシンとフリーウェイトの使い分け
これらを理解して総合してトレーニングを立案させていく必要があります。
もし足関節捻挫2度損傷をした野球選手を担当した時
トレーニングはどうすれば良いか想像できますか?
スポーツ科学は運動を助ける・・しかし
現代のスポーツ科学で様々なことが解明されてきました。
どんな動作なのか。どの筋肉を使うのか。どんな違いがあるのか。
最新の機器で人間の体をキザミながら分析。
これによってわかることは本当に多い。
スポーツ科学の発展で日本が強くなった部分も大いにあります。
しかしそれだけスポーツを解明できないのも事実。
「科学は運動を助ける。しかし科学だけではメダルは取れない」
これはある新聞に載っていた言葉です。
すごく胸を打たれました。
科学を使うのは大切。
しかし科学だけにとらわれてもいけない。
目の前の選手の反応と科学にはギャップが存在する。
それは選手個体間の差が非常に大きいから。
数値でわかるフィジカル部分だけでは
スポーツパフォーマンスは説明できない。
最高のパフォーマンスを作ることは一筋縄ではいかない。
選手、コーチ、トレーナーが協力して情報をシェアする。
主観と客観も全て合わせて最高のものを作り出す。
量も質も、バランスも含めて。
この過程が最高に成長する部分であると感じている。