先日のセミナーで時間がなくお伝えすることができなかった部分と復習用にかいてみました!
「股関節をみっちり学びたい」人におすすめとなってますので、どんどん学習していってください!
やっぱりいつまでたっても基礎が大切です!
臨床10年やって改めて解剖学や生理学、運動学を勉強するとホントに面白い
学校時代に習った解剖学、生理学は臨床とリンクしないからただ覚えるだけになっちゃうけど。
それが臨床をし始めるとあれよあれよとつながってくる。
だから解剖学、生理学、運動学はとことん勉強しましょう。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年2月26日
股関節の触診
<骨の触診>
- 大転子、小転子
- 恥骨結節
- 腸骨稜
- 上前腸骨棘/下前腸骨棘
- 下前腸骨棘
- 坐骨結節
股関節を知る上で周囲の骨をしっかり触り分けましょう。
特に骨盤は坐骨、恥骨、仙骨、腸骨をしっかりイメージして触診できることが重要。股関節の土台が骨盤になるので骨盤のアライメントを評価できるためには骨のポイントを触れるようにしておきましょう!
<筋肉の触診>
- 腸腰筋
- 大腿直筋
- ハムストリングス
- 小、中、大臀筋
- 外旋筋群
- 大腿筋膜張筋
- 縫工筋
- 大内転筋
- 長内転筋
- 恥骨筋
- 薄筋
股関節周りの筋肉は結構複雑。表層と深層にある筋肉を3次元でイメージして触診しましょう。特に内転筋群の触り分けと外旋筋群の触り分けは大切。
内転筋群は恥骨筋のタイトネスが股関節の外転制限になりやすく、外旋筋群に関しては梨状筋と内閉鎖筋が筋腹が大きいので制限になりやすいです。(梨状筋は外旋筋ですが股関節屈曲の制限にもなります)
股関節に関する整形外科テスト
A股関節屈筋群の短縮評価
- オーバーテスト(大腿筋膜張筋)
- トーマステスト(腸腰筋)
- エリーテスト(大腿直筋)
股関節の屈筋群の短縮は骨盤の運動制限や腰椎前弯・骨盤前傾を引き起こします。
どの筋肉が制限になるかを1つずつ評価しましょう。客観性を高めるために3つくらいの評価を合わせて考えましょう!
- 立位で骨盤の前傾・後傾・前方変位・後方変位を確認(PSISとASISの高さと矢状面からの視診)
- 同時にAIISとASIS、大腿筋膜張筋を触診して筋緊張を確認
- 仰向けで寝ている姿勢から股関節を屈曲。
- 反対側の股関節がどのような代償動作をするかで短縮した筋肉を予測する
- 各種整形外科テスト実施
この順番でやると3つくらいの評価が複合されるので客観性が増します。
Bクレイグテスト(大腿骨前捻角の評価)
大腿骨の前捻角を評価。腹臥位で股関節を内・外旋を行い、大転子が最も外側に来たところが前捻角になります。骨自体の問題になるので、前捻角が大きくなると骨盤の前傾やknee-inが助長されたり、カウンターとして下腿外旋症候群になることもあります。
大切なのはこの位置が骨頭の中間位であること。
この状態から内旋や外旋がどれだけ動くか評価してみましょう角度が大きい、小さいだけではなく、立位や動作にどれだけ反映されているかの確認が大切ですね!
Cパトリックテスト、インピンジメントテスト
こちらのテストに関しては股関節単体の評価だけでは不十分です。つまり陰性・陽性だけ判断するだけではなく、そのほかの仙腸関節評価や触診などを踏まえた上で意味を考えましょう!
股関節の土台になる骨盤・脊柱の評価
股関節の問題が起きるのは骨頭と臼蓋の関係性が悪くなった時に起こります。肩関節と似ていますね。骨頭を優位に動かすよりも、土台を動かした方が痛みや不安感が少ないのは股関節も肩関節も同様。
つまり土台のアライメント評価は欠かせないと言うことです。ここでは静的な方法と動的な動きのチェックをしましょう!
1PSISとASISの位置関係を確認
矢状面上でPSISが指1〜2押し高いのが正常。股関節は前傾することで骨頭の被覆度が増えます。
この時点でPSISとASISの位置がフラットやASISが高い場合は骨頭の被覆度が減っています。
2骨盤の前方・後方変位を見る
下肢の上に骨盤が位置しているかどうかを確認。基本的には耳ー肩峰ー大転子ー膝ー足と教科書的な位置関係が重要です。骨盤の前方変位と骨盤前傾を間違えてしまう場合があるので注意しましょうね!
3脊柱の彎曲
脊柱の彎曲を触診と視診で確認。骨盤に近い腰椎の位置関係が前傾ではなくフラットや後弯している人は注意。腰椎フラット・後弯→骨盤後傾→骨頭の被覆度減る→股関節の負担大となる場合があります。
4動的な評価
端座位で行いましょう。
骨盤単体での動きと脊柱単体での動きを確認。(多くの人は脊柱や骨盤自体が動くこと自体がわからないので)この評価自体がトレーニングになることがありますので活用しましょう。骨盤の前傾を単体で行うと腸腰筋、多裂筋が働き、さらんコアを高めるように腹横筋を入れることで体幹トレーニングにもなります!
骨盤と股関節の複合評価(前屈から全身を見る)
これは前屈動作を用いる簡単な評価があります。
前屈をした際に
- 大転子が5cm後方に移動→下腿三頭筋
- PSISが床と平行ではない→ハムストリングス
- 脊柱がフラット→脊柱
に問題があると考えます。(手がつくかどうかは関係なし、あくまでも股関節・骨盤・脊柱の評価として使用しています)
筋膜で言うところのback lineになりますね。後方の筋肉がタイトネスになれば骨盤の動きが制限されて骨頭との関係性が崩れてしまいます。
特にPSISが床と平行までしっかりと動くことができることはハムストリングスの柔軟性と腸腰筋の収縮が必要になります。どちらも股関節を守るためには必須の能力です。
脊柱のタイトネスと下腿三頭筋のタイトネスは「歩行」に影響します。(後ほど説明します)
上肢の可動域制限が与える骨盤の影響
上肢と骨盤をつなぐ筋肉はいくつかあります。評価としては端座位で上肢挙上した時の骨盤の動きを触知する方法。
- 端座位で上肢を挙上した時に過剰な骨盤前傾→広背筋の短縮
- 端座位で上肢を挙上した時に過剰な骨盤後傾→腹直筋、腹斜筋の短縮
これらの筋肉をストレッチして伸びるようにすると骨盤の制限が改善され、骨頭を守る土台の骨盤が動き始めます。骨盤と肩甲胸郭関節の評価は必須ということになりますね。→肩甲胸郭関節の評価はこちら
股関節単体の機能を改善する(中臀筋と大腰筋)
股関節単体の機能改善を主に分けると2つ「筋力」と「可動域」筋肉はたくさんあるから患者さん1人1人を評価してみて必要な部位の改善を計りましょう!
1年目のときにはhip OAの人に対して
・股関節周りのストレッチ
・股関節周りの筋トレばかりをしていた。でもそれだけでは効果が微妙だった。
今は大腿骨についている細かい軟部組織のリリースと筋膜ラインを利用したピラティスを使うことでかなり動きが変わると実感。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年2月26日
中臀筋について
今回は2つだけご紹介します。「中臀筋」と「大腰筋」
1つ目の中臀筋はトレンデレンブルグ歩行でお困りの方がいるので載せておきました。
→中臀筋トレーニングに関してはこちらの記事
大腰筋について
2つ目は大腰筋。なぜこの筋肉を取り上げたかと言うと現代人の生活スタイルに問題があるからです。長時間のデスクワークやパソコン作業などで骨盤が後傾・腰椎後弯してしまう人が増えています。
そのため大腿骨小転子と腰椎までつなぐ「大腰筋」の機能不全が非常に多いからです。
学校の腸腰筋のMMT5があるどうかが重要なのではなく、大腰筋の求心性収縮が働くかどうかが大切です。
腰椎前弯・骨盤前傾で股関節屈曲させることができるかどうか。股関節にとっては骨頭の被覆度増やすための大切な動作筋でもあります。
胸郭と足関節の機能改善から股関節の負担を軽減
胸郭と股関節の関係
立脚後期の股関節の伸展と胸郭の回旋はほぼ逆位相になります。つまり胸郭の制限があることで股関節の負担が増えてしまうということです。(ここで大腰筋の伸張性反射を利用して下肢を振り出せるかどうかが絡んできます)
すごく単純に考えると
- 立脚後期右股関節伸展・胸郭左回旋
- 立脚後期左股関節伸展・胸郭右回旋
とこんな感じの連鎖になります。どちらかに制限があれば相互に影響を及ぼしますね。
足関節の底屈筋力と股関節の関係性
次に足関節の底屈筋力と股関節の負担の関係。
これも胸郭と似ていますが、足関節の底屈作用が低下してしまうと股関節の屈曲の力発揮がより必要になります。逆を考えてみたら足関節底屈の力をつけることで股関節の負担が減ると考えられますね。
ただ単純に足関節の底屈筋力をつけるよりも、足関節底屈の可動域と足指の屈筋(MP屈曲)と横アーチの改善した方が良いと思います。(即時的な効果としてと足部機能の改善として)
股関節のまとめ
機能解剖と骨や筋肉を正確に触れること。やはりどの関節をとってみても大切。
そして臨床上では立位や歩行と動きを伴います。動きを分析できることがセラピストの強み!
特に股関節は腰椎や骨盤との連動が非常に重要な関節です。発生学的にも体幹から下肢への運動を起こすのは股関節。頭の中の解剖・運動イメージを保ったまま評価・治療を進めていきましょう!
吉田の臨床note!!にも股関節〜膝〜足関節動画ありでまとめてあります。
参考文献
基礎は大切なので触診とバイオメカニクスを参考文献に挙げておきます!