変形性股関節症のクライアントさんが非常に多いです。
私もっす。変形性股関節症状の初期であれば痛みと可動域、歩容の改善率が良い感じ。施術と運動療法のバランスがわかってきた。 https://t.co/seypVRzDNC
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年3月14日
- 変形性股関節症の初期
- 痛みと可動域制限がある
- 手術するレベルではない
そんな人のリハビリにお困りの方への1つの臨床のヒントになればと思います。
昔は
[voice icon=”https://reha-basic.net/wp-content/uploads/2015/12/160913_吉田直紀様.jpg” name=”吉田” type=”r”]
股関節を伸ばして中臀筋や大臀筋エクササイズすればよくなるんだ〜
[/voice]
て思っていたけど。
大間違いです。って今気づきました。
1年目のときにはhip OAの人に対して
・股関節周りのストレッチ
・股関節周りの筋トレばかりをしていた。でもそれだけでは効果が微妙だった。
今は大腿骨についている細かい軟部組織のリリースと筋膜ラインを利用したピラティスを使うことでかなり動きが変わると実感。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年2月26日
エビデンスや数値的な部分よりも主観的な臨床部分について書きます。
もちろん論文はたくさん読んでね!
サクッと動画で見たい人はこちら
股関節を伸ばして筋トレして・・では効果が薄い
臨床1年目でやっていたことは
- 股関節のストレッチ(屈伸、内転・外転、回旋)
- 股関節の筋トレ(大臀筋、中臀筋、腸腰筋)
という教科書に書いてあるような王道的なリハビリをしていた。
しかし・・・・
実際の感想・・・
「あまり変わらねぇ・・・」
ってのが実際です。それはいろんな知識が足りなかったことと技術力の問題がありました。でも今はだいぶ股関節がわかるようになってきまいた。
今現在の変形性股関節症初期の方へのリハビリの流れを細かくお伝えしますね!
1変形性股関節症の大腿骨の癒着を改善する
大腿骨の動きが悪くなっていることが大問題です。この状態でいくらストレッチして悪い動きのまま伸びているって感じ。
まずは徒手で大腿骨の動きをよくすること。ちょうど肩関節の肩甲上腕リズムの改善に似ている。
前と横と後ろ側に分けてリリースしていきましょ。
股関節前側のリリース箇所
- 腸腰筋(大腰筋も腸骨筋も)
- 大腿直筋
- 縫工筋
- 大腿筋膜張筋
前方の筋膜や筋肉の滑走障害は屈曲時の「股関節のつまり感」につながりやすい。特にASIS周囲は癒着しやすいです。
股関節横側のリリース箇所
- 中臀筋
- 大腿筋膜張筋
- 大臀筋
側方の筋膜や筋肉の滑走障害はトレンデレンブルグ歩行や外転時・内転時の股関節の痛みに関連。これらの筋肉が固まっている状態で筋トレしても効果が微妙です。しっかりと1つ1つの筋肉の隙間に手を入れて滑走を促してあげましょ
股関節後ろ側のリリース箇所
- 外旋筋群
大腿骨の後方の固さは大腿骨を前面に押し出す方向のストレスを加えます。後方のサスペンション機能が働かないと屈曲時に大腿骨が後方すべりしない。1つ1つの外旋筋群の間に手を入れて動きを変えてあげましょ。
これらのリリースをまず最初にやりましょう。方法はなんでもいいのですが1つ1つの筋肉の滑走障害を改善して大腿骨が自由に動くようにします。だからただのストレッチではなくて徒手の方がいいです。
こちらも参考に↓
2腹直筋・大胸筋のリリースから胸郭と骨盤を変える
多くの変形性股関節症の人は腹直筋・大胸筋が短縮して骨盤と胸郭の自由度が減ります。
骨盤の臼蓋側が動きにくくなれば大腿骨には過剰なストレスが生まれます。なので胸郭と骨盤のアライメントを変えるために腹直筋と大胸筋のリリースを行いましょ。
思っている以上に腹直筋は大きいです。第5肋骨周囲〜恥骨結合まで筋肉があるのでこの辺りを丁寧に丁寧にリリース。大胸筋も繊維ごとに分けて動かしてあげましょう
腹直筋鞘はあらゆる方向へ動かされる。
腹直筋トレーニングで体幹を屈曲する運動ばかりやるのは腹直筋鞘の対応力を失う。
要はお腹が伸び縮み色んな方向に動くことが大切
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年2月24日
3大腿骨周囲の癒着が改善してから運動療法へ移る
順序って大切で。
上記のリリースを徹底的に行い、大腿骨側周囲の癒着が改善してから運動療法へ切り替えていきます。
大腿骨の動きが悪いまま運動しても痛みを伴ってしまう上に悪い運動パターンを覚えてしまいます。
まずは徹底的に大腿骨の癒着を剥がす→運動療法へという切り替えをたいせつに
4運動療法は代償を抑えて単独で筋肉を動かす
変形性股関節症の人は悪い運動パターンを学習しています。中臀筋や大臀筋のエクササイズを行っても代償のオンパレード。すると痛みが悪化して動きが悪くなりやすい
だから代償を減らして正しい運動学習をすることが大切。
そのためには
- 大腿骨の癒着を剥がす
- 代償を見抜いて運動を修正
が大切。
吉田は徹底的にピラティスをやります。ヒーハーいうくらいやります。量も質も大事。運動療法のフェーズに入ったら45〜60分間運動します
5具体的な股関節のピラティスを用いた運動療法
メインの大臀筋・中臀筋・腸腰筋のエクササイズを紹介します。
ポイントは痛みのない範囲で、動かせる範囲で行うこと。
大臀筋のエクササイズ
- 背臥位で骨盤と胸郭をニュートラルにする(軽くドローインにしてASISと恥骨結合と第10肋骨を一直線)
- 骨盤の後傾から初めて腰椎を1つ1つあげていきお尻と肩が一直線上になるところまであげる
- 腰椎の過剰な前弯・膝が開かないようにに注意して進める
です。ポイントはニュートラルと脊柱の1つ1つのコントロールも学習させることです。
効果としては
- 股関節の伸展可動域UPにも役立つ
- 立脚初期のコントロールに影響
- 大臀筋下部繊維を働かせることで股関節の内転作用もUP
- 脊柱と骨盤の運動学習
などなど。とにかく現代人は大臀筋を使わない生活スタイルなのでしっかりと鍛えよう。
股関節伸展位からの伸展→大内転筋
股関節屈曲位からの伸展→大臀筋学校でのMMTには色々と間違いがある。。。
卒前教育と卒後教育はやっぱり分けて考えましょう。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年3月11日
中臀筋のエクササイズ
- 側臥位で骨盤と胸郭をニュートラルにする(軽くドローインにしてASISと恥骨結合と第10肋骨を一直線)
- 骨盤の下制!これで腰方形筋の代償を防ぐ。腰椎の過剰な前弯にも注意
- まずは膝屈曲位でレバーアームを短くして股関節外旋トレーニング
- 痛みがなければ膝伸展位で外転運動と屈伸運動
hip OA=中臀筋と言われるくらい有名なトレーニングですが。ちゃんとやるとかなり効果高いっす。意味もなく10回やるのではなく、しっかりと筋力をUPさせる負荷と回数を痛みのない範囲でやることが大切。
効果は
- 歩行時の側方への動揺↓
- 結果的に歩行時のメカニカルストレス↓
- 骨盤の下制により腰方形筋の収縮→大腰筋の連結にも関与
腸腰筋エクササイズ
これが1つ目。
- ひざ立ち位から体重を前にかける
- 体幹がねじれないように注意してストレッチ
腸腰筋の遠心性収縮を働かせることが目的。もしできる人は手を話して股関節のコントロールだけで進めたい運動です。
2つ目。どちらかというとこれをよく使います。
理由は四つ這いの運動メリット↓
<四つ這い運動のメリット>
・骨盤、肩甲骨への荷重圧が加わる
・大腿骨、上腕骨を後方に押し込む
・四肢を固定するから中枢部を中心とした運動学習が行いやすい
・痛みが出にくいだから四つ這いは本当によく使います。
hip OAや肩関節疾患、脊柱疾患にも。 pic.twitter.com/Y0I3R6h38Q— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年3月15日
方法は簡単に
- 四つ這いをキープ(ニュートラルを維持。骨盤はニューテーション、脊柱のS字カーブ作って、頭部を落とさないように)
- 股関節伸展(脊柱や骨盤の代償を抑えて股関節単体の伸展運動)
これも腸腰筋の遠心性収縮を狙って行う。
腸腰筋のトレーニングメリットは
- 大腿骨を前方から守るインナーマッスル機能
- 大腿骨を正しい方向へ運動をガイドする
- 股関節の痛み・可動域に大きく関与
もう説明不要なくらい腸腰筋は大切なのです。
クライアントさんに紹介している自主トレ動画です↓ご参考に。
6変形性股関節症の自主トレ
大腿骨の癒着が改善して動きがよくなって運動ができるレベルまで持ってきたらあと一息。
量と負荷を調整して自主トレを習慣化させて筋肉をつけるフェーズです。
これがめっちゃ大切♪(´ε` )
- 長時間歩いていると痛くなる
- 午後になると痛くなる
とかは筋力低下が原因のことが多い。
まずはしっかりと筋肉をつけよう。でも筋肉を強くするためには時間がかかる。それをちゃんとクライアントに説明して自主トレの重要性を認知してもらう。
- 週に2〜3回の筋トレ
- 2〜3ヶ月実施することで効果が現れる
ってことを説明しよう。確かに筋トレの効果は2週間で神経系が改善するから主観的には変わった気がするんだけど。。。それじゃダメ。だって変形性股関節症なので進行するから。
だから2週間の神経系の改善だけではなく、筋トレを習慣化させて将来の股関節を守るところまで考えてあげる。
あとは「痛みが取れた!可動域が良くなった!」っていう短期的な結果も大事なんだけど。
病態を理解してトータルで長期的な目線で考えないとね。
変形性疾患であれば負荷や運動量、体重や生活習慣に着目して無理をさせないこととかね。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年3月14日
筋トレの回数や負荷設定についてはこちらの記事を参考に↓
変形性股関節症初期のリハビリの流れまとめ
- 大腿骨周囲の軟部組織のリリースを徹底的に行う
- 骨盤と胸郭の動きを高めるために腹直筋・大胸筋をリリース
- 大腿骨の癒着が剥がれて大腿骨の動きが出てきてから運動療法へ
- 運動療法は代償を徹底的に抑えて痛みのない範囲・動く範囲で負荷をかける
- 自主トレの効果判定
教科書にはあまり載っていない細かい部分まで書いてあります。全部臨床で体験したことだけなので「リアル感」あります。
もちろんこれからさらに色々研究してより良い方法を模索していきますね!
臼蓋形成不全のクライアントさん
・1.2回で組織の癒着をはがし
・3.4回目で徹底的に運動療法
・4回目で痛みなし
いい経過。これからセルフケアでの調整をメインに。自分で自分の体を治せるように。 pic.twitter.com/4JEWudyblU
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年2月26日
ありがとうございます^^また困ったらいつでも言ってください! https://t.co/FQPnLO3E0f
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年3月18日
あっ股関節で参考になるnoteは
なのでぜひご覧ください!!
ではでは( ´∀`)