膝関節においては膝蓋大腿関節と脛骨大腿関節がある。
その中でも軽視されがちな膝蓋大腿関節について機能解剖と評価を見直してみよう。
日々の臨床の中でよく遭遇する膝関節疾患。
変形性膝関節症やACL損傷、半月板損傷も膝蓋大腿関節が重要。
膝蓋大腿関節とは(PF joint)
PF jointは膝関節を構成する関節。
大腿骨と膝蓋骨で成り立ちます。
膝蓋骨は
屈曲位で大腿骨の溝にはまり、膝蓋骨を安定させる。
伸展位では膝蓋骨は8-20mm外側へ移動することが可能。
膝関節が伸展位から屈曲を始めると膝蓋骨は
外側から徐々に内方へ移動していく。
元々FTAがあるため膝蓋骨は外側への応力が生じやすいといわれてる。
そのため内側広筋の緊張や腸脛靭帯の張力などが
膝蓋骨のアライメントに変化を起こす。
どんな時に膝蓋骨の軌道が悪くなるのか?
PF jointにおける問題は
「膝蓋骨のマルトラッキング」
つまりマッスルバランスの偏りによって膝蓋骨の軌道が悪くなること。
<膝蓋骨の軌道を変える因子>
・緊張した大腿四頭筋
・内側広筋の弱化
・大腿筋膜張筋の緊張
・ハムストリングスの短縮
・膝蓋下脂肪体と膝蓋上のうの癒着
・下肢のアライメント異常
・骨の形状
膝に与える足・股関節の影響
PF jintに対して足や股関節はどのような影響を与えるか?
「脛骨の外旋位」
これが起こると厄介。
足部の柔軟性が失われ、股関節の可動域制限が出現すると
脛骨の外旋位固定がよく見られる。
つまり足部の回内外と股関節の回旋制限が起こると
膝関節への回旋ストレスが強くなる。
膝関節は1軸性の関節であり自由度が高くない。
だからこそ回旋という3次元の動きは極力避けたいのである。
FTAの影響で元々膝蓋骨外側にストレスが加わりやすい上に
脛骨が外旋するとさらに外側への応力が強くなる。
骨盤の前傾・後傾が膝に及ぼす影響
では骨盤の関係はどうか?
骨盤の前傾・後傾の時にはどんなことが起こるだろうか。
骨盤前傾→大腿骨が内旋位。腸腰筋や腸脛靭帯の短縮が考えられる。
骨盤後傾→大腿骨が外旋位。ハムストリングスや背部の金の短縮が考えられる。
どちらがいいではなく
どちらの方向にも動くことができることが大切。
骨盤が崩れてしまうと下行性運動連鎖として膝に影響を及ぼす。
PF jointの評価
PF jointの評価のポイントはこちら。
・膝蓋骨の動きの評価(背臥位)
・Q-angle
・脛骨の捻転
・距骨下関節の動き、股関節の回旋の動き
・膝蓋骨周囲の軟部組織のインバランス評価
・OKCでの動作パターンの分析
・Ober test(TFLの短縮)
・Thomas test(腸腰筋の短縮)
これらの評価を行うことで
膝蓋骨周囲の与えるストレスを評価できる。