肩関節のセミナーをした時に質問が多かったのでまとめますね!
「肩関節の1st/2nd/3rdってどういう違いがあるんですか??」
学校時代に習った肩関節の可動域の評価方法。1st/2nd/3rd。
ではそのポジション別に図る意味と制限はどんなものがあるのかお伝えしていきます。臨床上、肩関節の角度を変えて評価することは必須になりますよ^ ^
肩関節の1st/2nd/3rdってそもそもなに??
ズバリこれです。肢位を変えて回旋の可動域を評価すること。
- 1st(下垂位)ポジション:肩関節上方組織の評価
- 2nd(90度外転位)ポジション:肩関節前方・下方組織の評価
- 3rd(90度外旋位)ポジション:肩関節後方・下方組織の評価
ポジションを変えることで肩関節の組織を分けて評価することができるのです。
なんでそんなことするのかって??
それは球関節で自由度が高く、様々な軟部組織が可動域の制限因子になり得るから^ ^ということは股関節も実は背臥位や腹臥位で可動域を計測することで回旋可動域因子が変わるわけです!
肩関節1st/2nd/3rdポジションの制限因子を知るためには?
これは色々あります!間違いなく解剖学と細かい触診技術が必須になります。
1つ1つの筋肉を3次元で触り分けられなければ意味がありません。1st/2nd/3rd別の制限因子を知るだけでは不十分。治療に繋げるためには触診技術が重要というわけです。(特に層別に走行を理解すること)
当たり前ですが、肩関節の組織が前後・上下に何があるのかを知ることも大切。基本は解剖学です!
1stポジション下垂位を考える
1stポジションとは肩関節下垂位での評価。主に、ここでは上方組織の評価。
外旋制限や内旋制限では上記の組織の問題が考えられます。
実はこのポジションは肩関節の内転制限が問題になることが多々あります。(上方組織には上方関節包や三角筋、棘上筋など)内転制限があると、肩甲骨のリズムの異常や棘上筋や肩峰下滑液包の癒着なども考えられ、結果的にインピンジメント→可動域制限と痛みになることがあります。
また、内転制限がある人は1stで肩甲骨が過剰に下方回旋するという現象が多く見られます。肩甲上腕リズムを考えるとしっかりと肩関節の内転制限を改善することが肩関節挙上に必要ですね。
痛みが出やすい2ndポジションを考える
学校では90度外転位の2ndポジションでの評価を重要視されますが。。。僕の考えから臨床経験上これはあまり使いませんw♪( ´θ`)
理由は2ndポジションは肩関節前方にストレスをかけて痛みを引き起こしやすいポジションだからです。
これは肩の構造を考えてもらえばわかります。前方を支える筋肉が少ない(特にインナーマッスルは肩甲下筋だけ)のに対して、後方の筋肉はたくさんあります。だから肩関節の構造上、後方が硬くなって、前方が緩くなりやすい関節なのです。(だから前方脱臼が明らかに多いのです)
2ndポジションの評価には気をつけましょう。もしするのであれば肩甲骨面上での評価の方がおすすめ。
僕は2ndの評価よりも肩関節軽度屈曲45度外転位(関節包がもっとも緩み、リラックスできるポジション)から上腕骨頭を把持して回旋の評価をします。
動画だとこんな感じです↓↓(これで上腕骨の動きのエラーを評価します)
3rdポジションは水平内転の評価も合わせる
3rdポジションは90度屈曲位での評価。ここでのポイントは水平内転!!
しっかりと水平内転が入っていない状態で評価しても意味がありませんし、水平内転できることが重要。水平内転の制限になりやすいのが三角筋後部線維、棘下筋、小円筋のあたり。この部分の硬さがあると前方でのインピンジメントも引き起こすので注意!
また3rdポジションの内旋と外旋制限を見ると筋肉が近くに接しています。これは筋膜の側副伝達という現象から、癒着を起こすとそれぞれの機能が低下しやすくなります。しっかりと筋肉同士が個別に滑走することが臨床上大切です。
各肢位でのポジションで絶対見逃してはいけないポイント
もちろん1st/2nd/3rdで評価することは大切。
でもそれ以上に大切なのが内旋や外旋をした時に骨頭がどうやって動くかを評価することです。
もっとも多いのが「後方関節包・組織のタイトネス→上腕骨頭が前方に移動してしまう」
という現象です。これをそれぞれの肢位でしっかりと骨頭を触診して評価することがポイントになります。
肩関節1st/2nd3rdのまとめ
- 各肢位でどこの組織を評価しているかを知る
- 触診技術が必須
- 評価をするときは常に骨頭の動きを手で感じておく
- 2ndポジションでの評価は痛みや恐怖感を出さないように注意する
以上です。
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