学生さんや1年目の理学療法士さんは絶対悩む種
- 歩行分析がわからない…
- 歩行分析がうまく出来ない…
私たち理学療法士は歩行を観ることを得意としています。
- 立脚や遊脚の時期を分けたり
- 各層の筋活動を研究してみたり
- 脳への影響を考えたり
歩行をふか〜〜〜く考えて来たのです。
ここに1つの罠があります。
「歩行分析=難しい」
そして歩行を「複雑」に捉える傾向があります。
学生のレポートを見ているとよくわかります。細かく掘り下げすぎて迷い込んでしまう。
これを解決するための3つのポイントをお伝えします。
実際の学校の授業で伝えたことも合わせて!
初めて学校で授業させていただきました!!
「歩行分析について」
臨床の歩行の見方やりました。難しいことは引き算してシンプルにやりました。
学校のみなさん、評価実習ファイトです!! pic.twitter.com/Gcwd62HrdE
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年10月29日
歩行分析!誰もがハマる歩行分析の罠
歩行を深く観察し分析しようとすればするほど罠にかかってしまいます。
何の罠か??
「歩行にとらわれる」という罠
歩行を細かく分析した結果周りのことが頭に入らなくなってしまう。すべてを歩行につなげてしまう危険性があるのです。
あなたが観察して分析している歩行はもしかすると…
- 患者さんの気分によって変化する歩行かもしれない
- 患者さんの靴に石がはいっているかもしれない
- 患者さんの目線が外の景色に向いているかもしれない
- 患者さんの服がずれているかもしれない
これらのたくさんの要素が「跛行」に影響している可能性は十分あります。
歩行にとらわれることによってすべて機能的な解釈に変わってしまうこと。これに注意しましょう。
歩行分析が難しい2つの理由
なぜそもそも歩行分析が難しいかというと・・・
理由は2つ。
- スピードが早い
- 多くのことを捉えようとする
大きく分けてこの2つが問題。
じゃあ最初のスピードを変える?でも「ゆっくり歩いてくださ〜い」なんて言えませんよね・・
ということはシンプルに。
みるポイントを絞ることが大切になります。
方法は簡単。
複雑な歩行を少し簡単に観てみるだけ。たった3つの分析だけに絞りましょう。
歩行分析をみるポイントを細かくみると
- 動きに流動性があるか?
- 動きにリズムがあるか?
- 足の上に体重がしっかりとのっているか?
- 身体が直線的に進行しているか?
- 蹴り足は左右どちらか?
- 遊脚相の弛緩はあるか?
- 一側の立脚相から反対側への荷重転換の遅れはないか?
- 身体の左右への過度な移動はないか?
- 身体の前後への過度な移動はないか?
- 身体の左右の回旋に非対称が認められるか?
- 動きのなかでのアライメントをみることが重要である
これは「結果の出せる整形外科理学療法2009」で書かれていることです。確かに大切です。
ただ。これを全て捉えるのは難しい。
なので3つに絞ります。
歩行分析のコツ…簡単に観る3つのポイント
1立脚に注目
遊脚期はとりあえず無視。
足をついた瞬間から人間の荷重反応がおこります
遊脚期は立脚期の後の反応だと捉えること。しっかりと足の上に体重が乗るからこそ遊脚期の「弛緩」が得られるのです。
立脚期に着目することでみるポイントが半分以下になり、より集中することができます。
立脚になった瞬間どこがどう崩れるかを観察分析してみてください。
もちろん立脚の初期〜中期〜後期のどこに問題があるかは評価しましょう。
運動連鎖と同様で最初の「初期」がとても大切。初期の運動連鎖が中期や後期の反応に関わるから。最初のinitial contactに何が起こるかしっかりと分析しましょ。
歩行に関して気づいたこと。
歩行時の立脚で足の上に体重がのらないと緊張は生まれないし、その後の弛緩も生まれない。
滑らかな歩行をするためには「立脚にのせること」が大切
まずは立脚。立脚。立脚。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2017年3月6日
2問題となる関節から観る。次に全体を観る。これを3回繰り返す
股関節が悪いのであれば股関節!膝関節が悪いのであれば膝関節!
まずは局所の立脚期から捉える。
全体から捉えると歩行の余計な部分が頭に残ります。
まずは局所、次に全体にフォーカスを当てて3回繰り返す(歩行中に)
当たり前かもしれませんが重要です。
3問題部位のメカニカルストレスを考える
自分が怪しいと思っている箇所のメカニカルストレスを考える
メカニカルストレスとは屈曲・伸展・側屈・回旋・圧迫・牽引などのストレスです。
膝が痛い患者さんであれば膝のメカニカルストレスを考えてみる。いづれかのストレスが歩行の立脚に加わっているはずです
4簡単に動画で歩行分析を理解しよう!
5例えば
例として考えて見ましょう。
<右変形性膝関節・歩行時に右膝が痛い人の歩行分析のプロセス>
- 右立脚期、右膝に着目して歩行分析
- 立脚中にどんなメカニカルストレスが加わるか評価
- 立脚初期・中期・後期のどの部分で痛みがあるのか評価
- 立脚とメカニカルストレスがわかったら局所と全体を3回繰り返し見る
- 関係性を考えて見る
とこんな感じ。ここからさらに静的なアライメントや足部の評価を加えてもっと深く見ていくことが大切です。
歩行分析のまとめ
今回は歩行分析を簡単に観る3つのポイントをお伝えしました。
- 立脚期に注目(初期〜中期〜後期)
- 問題局所⇄全体を3回繰り返す
- 問題部位のメカニカルストレスを考える
歩行分析に答えはないし、間違いもありません。100人理学療法士がいれば100通りの分析方法があります。
だから自分自身の分析に自信を持ってトライアアンドエラーを繰り返しましょう!
歩行分析が難しくて歩行の評価が嫌いになりそうな人は今回の方法を試してみると良いかもしれません。
難しくとらえず、シンプルに、わかりやすく。
私がオススメする歩行分析の本こちら
この2冊はかなりわかりやすく、歩行を捉える上で助けとなる本です。
入谷式足底板 ~基礎編~(DVD付) (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)