よく教科書やテストで目にすることの多いワード
「肩甲上腕リズム」
ではそのリズムを理解するとどうなるのか?
どうやって臨床に応用すればいいのか?
ただ単に角度を覚えておくだけでは全く臨床に応用できません。
数値が大切なのではなく、「なぜそのリズムになっているか」が重要。
肩関節疾患を見る際に肩甲上腕リズムを評価する意味についてお伝えします。
臨床においては簡単に3つの時期に分けて評価。(動画もあり)
上腕骨と肩甲骨の関係性と筋のバランスによってリズムが変化します。
肩甲上腕リズムって?肩関節の可動性について
まず大切な基本から。
肩甲上腕リズムとは肩関節を挙上した際の肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動くリズム。
一般的には外転30°辺りから肩甲上腕関節2°外転すると肩甲胸郭関節が1°上方回旋。
2:1の割合で肩が動いていくとされています。
このリズムが崩れることによって肩関節の機能障害を引き起こしてしまう可能性があるということです。
単純に肩甲骨が動かなければ上腕骨だけでの可動域は90度屈曲程度。
肩甲上腕関節の評価ができないとこのリズムを臨床で生かせないのですm(_ _)m→詳しい肩甲上腕関節の評価はこちら
肩甲上腕リズムの落とし穴
しかしこの肩甲上腕リズムにも落とし穴があります。
様々な見解が出ており、必ずしも比率は一定ではないという見解もあります。
- 肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の可動域の比率は筋活動によって変動する
- 肩甲上腕リズムは年齢・性別などの個体差が大きい(関節面や関節の角度によって変化していく)
つまりリズムがあるが誰しもが一定ではないということを頭にいれておきましょう。
肩甲上腕リズムってどう臨床に役立てるの?評価は?
ここが問題。
学術的には分かっているが臨床ではどう生かしていいかわからない。
そんな人が多くいます。
大切なことは角度や比率ではなく
肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節が共同して動く
ってことが大切!!
ここが最も重要です。
動き方・比率は年齢や性別などの個体差や筋活動の影響によって変化する。
必ずしも2:1という比率を信じないほうが良いでしょう。
また肩甲上腕リズムの評価は見るポイントを絞るとより評価しやすいでしょう。
私の臨床上の経験から肩関節のリズムが狂う人は3つの時期に狂います
この時期を見逃さずに動作分析することが大切。
肩甲上腕リズムが狂いやすい3つの時期(動画あり!)
1初動の可動時
初動時にはローテターカフの活動が重視されるため狂いやすい時期。
もし初動時に肩甲骨が過剰に動いている時は肩甲骨周りのスタビライザーが効いていないかもしれない、、なんて予測もできます。
2屈曲90°付近で
90°付近で筋活動が変化し肩甲骨と上腕骨の位置関係が変化するため。
90°を超えると肩甲骨と上腕骨の位置が上下に逆転し、筋活動が変化します。
ローテーターカフのスイッチングなんて表現がされることもあります。
この位置で肩甲骨と上腕のリズムが大きく変化するということはこの筋のスイッチングや抗重力筋が働いていないことも考察できますね。加えて重力に対する肩甲骨やインナーの働きも評価できます!
3最終屈曲域での可動時
最終域での肩甲骨と胸郭の移動範囲が大きくなるため。
最終屈曲ができない人は肩甲骨の動きが乏しい人が多いです。そのかわりに過剰に上腕骨が動いてしまうとインピンジメントなどの障害を引き起こしてしまうかもしれません。
この時期の肩甲骨の動きを分析することはオーバーヘッドスポーツをしている選手であればかなり重要になります。多くの場合肩甲骨の後傾が不足していることが多い。(小胸筋の短縮や僧帽筋下部繊維の筋力低下など)
これらの3つの時期を動作分析する。
そしてどのような崩れ方をするかを観察。(アライメント)
また、どのようにすればその崩れがなくなるかを評価・分析する。(どのようなアシストをすればリズムが改善するか?)
これが臨床で肩甲上腕リズムを応用するコツです。
吉田の臨床note!!(上肢編)では動画での説明も10本以上ありますのでご参考に!
背臥位で肩甲上腕リズムを評価してみよう
立位で評価するのは結構大変。なので背臥位置で肩甲上腕リズムを評価してみましょう。
- 90度外転位から水平内転
- 上肢が上に行けば→下方回旋を示唆
- 上肢が下に行けば→上方回旋を示唆
これだけです。あくまで示唆ですが、再現性は高いですね。
これに合わせて臼蓋上腕リズムを評価できればバッチリです!!
もっと肩関節について知りたい人はThe肩関節noteに肩の評価動画載せてます!
まとめ
- 肩甲上腕リズムの本質
- 肩甲上腕リズムの落とし穴
- 肩甲上腕リズムの3つの分析ポイント
これらを踏まえて患者さんの肩関節を評価してみましょう!!