さて筋トレ筋トレ!
そうそう、筋トレは大切。
「はい、じゃあ足を10回あげてくださいね〜」
なんて言葉をリハビリで聞いたことがないだろうか?
さてその10回にはどんな意味があるのだろうか?
筋肉にどんな結果を求めているのだろうか?
リハビリに必要な筋肉の基礎的な知識をまとめたのでドンと臨床で使って欲しい!
科学的に意味のある「筋トレ」をやろう( ´∀`)
〈筋トレはした方が「いい」じゃなくて「しなくちゃいけない」〉
それは以下の人
・1日の大半がデスクワーク
・1日のうちほとんど歩かない
・週に2回以下の運動量そんな人は必須でやるべき。
一日一日筋力が低下して弱くなってしまう。ましてや文明が進化すればするほど顕著になる。
— 吉田直紀〜理学療法士〜 (@kibou7777) 2018年1月5日
筋トレの重さ・回数・効果
と大まかにはこんな感じ。
筋肉はすごい優秀。どんなに年をとっても適切な負荷と頻度を与えれば反応する。
セット数に関しては3〜5セットできる重さでチャレンジ。
インターバルに関しては1分30〜3分に設定しよう。
RMとは?
レペティション・マキシマム(RM)=最大挙上量のこと。1回だけあげられる重量を1RMと呼ぶ。
この1RMを計測してそれからトレーニング計画を立てるのが科学的に計算しやすいトレーニング方法。筋トレではよく出てくる用語なので覚えておこう。
男性やスポーツ選手で筋肉を肥大したい人は8RMの重さで、女性や高齢者のように筋持久力をつけたい人は15〜20RMの重さでトレーニングしよう!
確実に筋肉が太くなる強度と量と頻度
これはもう揺るぎない方程式。若い人で筋肥大を目的とするのであればこれくらいの負荷と設定は行うようにしよう。
稼動範囲は最大限フルレンジで行う
筋トレをするときは稼動範囲の最大限を使って行うようにしよう。
理由は筋肥大を促すダメージを筋肉に与えやすいから。筋肉は長く伸ばされたポジションで使われるほど筋肉の損傷が起こりやすくなる。
さらに力×距離=仕事量が増えて、エネルギー代謝量も増えるので筋トレは最大限フルレンジで行うようにしよう。
有酸素運動と筋トレの順番
○筋トレ→有酸素運動
×有酸素運動→筋トレ
理由は筋肉を太くするために必要な成長ホルモンの分泌が有酸素運動によって抑制されてしまうから。
超回復って?
- 筋トレをする
- 筋肉が損傷する
- 筋肉が回復する
- 最終的に筋肉が以前よりも強くなる
この2〜3の過程を超回復と呼ぶ
これが48〜72時間と一般的に言われているが24時間で良いとしている説もある。
どちらにせよ同じ部位の筋トレは毎日ではなく1〜2日開けて運動するのが理想。
一週間に行う筋トレ頻度・効果が出る期間
結論からいうと週に2〜3程度でOK!毎日ではなく1〜2日空けてトレーニングをしよう。
筋肥大を目的とした研究的としては
- 週2、3トレーニング>週1トレーニング
- 週2回トレーニングと週3回トレーニングは効果に違いなし
となっている。なので週2回の筋肥大トレーニングは実践したい。
高齢者においても同様で、週2・3回の筋トレによって筋横断面積の増加が起こる。それは90歳になっても証明されている。
筋力トレーニングの効果が出てくるのは
- 2週間:神経適応によって重さに耐えられるようになる
- 4週間〜:筋肥大が起こり始める
- 3ヶ月:筋肉量5〜10%、筋力15〜20%アップ
ただいろんな条件によって変わる
- 男性の方が女性よりも効果が現れやすい(ホルモンの関係)
- 速筋線維を鍛えると筋肥大しやすい
- 適切な負荷、量、回復期間が重要
- 栄養状態
などなど。一概にも必ずこの期間で・・ってのは言えないので個別性を意識しよう。
加齢によるサルコペニアと不活動性の筋萎縮の違い
筋肉自体は加齢に伴って低下してしまう。いわゆるサルコペニア。
30歳代から始まり1年毎に5 %前後減少。80歳代で約40 %の低下。
加齢に伴う筋力低下は筋肉の萎縮。特に速筋繊維の萎縮が認められている。
じゃあ速筋を鍛えるぞ〜!高負荷だ〜!!
はちょっと短絡的。
高齢者は若い人よりも交感神経が優位になりやすく、高負荷の筋トレは心臓や血管などに負担をかけるリスクがある。
しかもサルコペニアが絡むと栄養や内分泌系、運動神経数、体脂肪量などが複雑にからみあう。
サルコペニアに対する診断基準と対処方法
引用:健康長寿ネット
- レジスタンストレーニング(加齢が原因の場合)
- 身体活動を増やす(2〜3メッツ以上の活動は必須。つまり寝たまま、座ったままはダメ)
- 栄養管理(栄養状態が悪いままレジスタンストレーニングを行うと悪化する!)
- 急性期炎症や悪液質の場合はレジスタンストレーニングが禁忌
などなど。
サルコペニアの原因によって対処方法が変わる。加えて栄養士さんや看護師さんともよく相談してチームで包括的に考えよう!
リハ栄養の第1人者の若林先生の本は1度は読んでおこう!
高齢者には低負荷とスロトレがおすすめ
高齢者には低負荷でスロートレーニングがおすすめ。そもそも高負荷はリスクが大きすぎる。しかし負荷量として筋肥大や筋持久力をUPさせるためにはかなりの長時間トレーニングが必要になってしまう。
なのでスロトレがオススメ。
いわゆるゆっくり行うスロートレーニング。関節をロックさせずに常に筋収縮を入れてゆっくり動作を行うことで筋力増強させる方法。
スロトレの具体的な方法は
- 3〜5秒かけて動いて、5秒くらいかけて戻る(スクワットや太もも伸ばしなどどのエクササイズにも応用できる)
- 関節をロックしない(膝を伸ばしきらない、肘を伸ばしきらないなど)
- 回数は5〜10回、2〜3セット、週に2〜3回行う
- 呼吸を止めない
ちなみに特異的な血圧や心拍数の上昇も起こらない。(関連論文→スロートレーニングにおける血圧変動)
ロコモティブシンドロームのチェック
引用:神奈川長寿サイト
運動器の障害によって要介護のリスクがある状態がロコモティブシンドローム。
1つでも当てはまったらロコモティブシンドロームの可能性が高い。リハビリ現場でもロコチェックに引っかからないように運動機能を高めることが大切。
引用:ロコモチャレンジ
リハビリ現場であれば
- 40cm台からの片足立ちテスト
がとても簡単でおすすめ。
的確に筋力低下を見抜き、効果判定としてもこれらのテストを実践してみよう。
リハビリテーションに必要な筋トレまとめ
- 筋トレには負荷量、回数、頻度が重要
- 稼動範囲は最大限で行う
- 高齢者にはスロトレがおすすめ
- 筋トレ後に有酸素運動の順番で行う
- サルコペニアを理解して高齢者に筋トレを行う
- 栄養状態や全身状態を把握してトレーニングを考えよう
- 簡単なロコモチェックをして大まかな筋肉を評価しよう
はい。とっても筋肉は大切。
寝たきりになる疾患や原因の根本は筋力低下が問題。
しっかりと筋肉を強くして日常生活に反映できるようにトレーニングを組んでいこう!!