膝関節が痛くなる疾患ってたくさんありますよね。
変形性膝関節症、オスグッド、半月板損傷、ジャンパー膝などなど。
単純にROMとMMTを評価すれば良いのでしょうか?
大腿四頭筋ばかりに目を向けていれば良いのでしょうか?
実は膝関節は2つに分けて評価・治療すべきなのです。
その2つとは…
膝蓋大腿関節(PFjoint)と大腿脛骨関節(FT joint)の2つです。
膝蓋大腿関節(PFjoint)について
- 大腿骨と膝蓋骨のから成る関節
- 膝の曲げ伸ばしの時の痛みや引っかかりに影響
PFjointはOKCでの問題に影響を与えやすいと捉えておきましょう!
多くの場合は膝蓋骨の可動性低下が疼痛や可動域制限を引き起こします。
<膝蓋骨の動き>
- Frontal rotation
- Coronary rotation
- Glide
- Tilt
大きく分けてこれらの動きを伴います。膝が曲がる時・伸びる時には膝蓋骨の複合した3次元の動きが必要。
膝蓋骨の動きを制限する因子は大きく分けて2つと捉えましょう。
膝蓋骨の動きを制限する因子「股関節」
股関節位置関係が不良であれば大腿筋膜張筋や大腿の広筋群が滑走性低下を引き起こし膝蓋骨に影響を及ぼします。例えば股関節が外旋位でO脚のような状態であれば大腿筋膜張筋の緊張が強くなってしまいますよね。
結果的に膝蓋骨は外方向に牽引されて膝蓋骨のtrackngが不良になって痛みを引き起こしたりします。
シンプルに
「股関節ー膝関節ー足関節」は一直線上に揃っていることが大切ですね!
膝蓋骨の動きを制限する因子「膝蓋骨上下の軟部組織」
上には膝蓋上嚢、下には膝蓋下脂肪体が拘縮を起こしやすい組織があります。ここは柔軟性が必要なのでよくモビライゼーションしましょう!
具体的な方法はこちらの動画で↓↓
大腿脛骨関節(FT joint)について
- 大腿骨と脛骨のから成る関節
- 荷重位や歩行時の痛みに影響
- 「回旋」の動きに影響
臨床上この大腿骨と脛骨の間の「回旋」の動きに制限が起こりやすいのです。過剰な回旋のストレスは半月板や軟骨の損傷に影響します。
特に脛骨は足部から影響を受けるため
- 足部外反→脛骨内旋
- 足部内反→脛骨外旋
という運動連鎖を起こします。足部の変形や足部の機能低下から膝関節へのメカニカルストレスが加わります。
一方で下降性の運動連鎖としては
- 大腿骨の内旋→脛骨の外旋
- 大腿骨の外旋→脛骨の内旋
が起こります。
このあたりは学校でも習ったスクリューホームムーブメントが大切。
膝が曲がるときに脛骨が内旋するというメカニズムですね。
だから回旋という動きはスムーズな膝関節の屈曲・伸展にとても重要なのです。
スクリューホームムーブメントは年齢や性別によっても変化を起こすのですが…まあここは置いておきましょう。
詳しくはこちら→スクリューホームムーブメントの評価
PFjtとFTjtのまとめ
今回は膝関節を2つの膝蓋大腿関節と大腿脛骨関節に分けて考えるというお話でした。
これらがうまく評価できれば的確に患者さんの痛みを取り除くことが出来ます。もちろん可動域制限を考えるときにも有効です。
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