さて運動連鎖という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
大きく分けてKinetic ChainとKinematic Chainに分かれます。
一般的に理学療法で表す運動連鎖は運動のつながりのことを指します。
ではその運動連鎖とは何か?
動画でカンタン説明!運動連鎖について
上行性・下行性運動連鎖
運動連鎖には骨盤から波及する下行性運動連鎖
足部から骨盤に向けて波及する上行性運動連鎖に分かれます。
<下行性運動連鎖>
- 骨盤後方回旋→大腿骨内旋→脛骨外旋→距骨下関節外反
- 骨盤前方回旋→大腿骨外旋→脛骨内旋→距骨下関節内反
<上行性運動連鎖>
- 距骨下関節外反→脛骨外旋→大腿骨内旋→骨盤後方回旋
- 距骨下関節内反→脛骨内旋→大腿骨外旋→骨盤前方回旋
難しく捉えず簡単にまとめると。各関節が捻り合うように成り立っているということです。
確かにこれは非常に使える考え方。足関節の治療から股関節や骨盤などの治療に波及させることも可能でありその逆も可能。
各関節は一つで成り立っているのではなく関係し合うということですね。
特に足底板の考えや歩行分析としてはとても重宝する考えですね。
運動連鎖に関係する要素
この運動の連鎖が起こる理由は何か?実はここにたくさんの要素が関係します。
骨だけでなく、筋肉や皮膚、筋膜、靭帯などの筋骨格系の要素だけでもたくさん関与します。
運動連鎖の落とし穴
しかし注意点があります。
すべてが教科書とおりの運動連鎖になるとは限らないということ。
例えば変形性膝関節症を例にあげましょう。
下肢疾患の方は 距骨下関節→脛骨→大腿骨→骨盤。
これらの運動連鎖が破綻することがよくあります。
- 距骨下関節が外反しているのに脛骨が内旋方向に入ってしまう。
- 脛骨が外旋しているのに大腿骨が外旋方向に入ってしまう。など。
下肢疾患の方は可動域制限や変形などから運動連鎖の回旋波及が止まる部分があります。
ここで視点を変えてみることが大切。
「回旋が思った通りに波及しない=波及を止めている部分に問題点がある」
このように見方を変えると臨床の幅が広がります。
つまりその人特有の運動連鎖パターンがあるかもしれない。
だから「運動連鎖」というパターンだけには縛られてはいけない。
運動連鎖という概念を頭にいれることで運動連鎖以外のパターンを「異常」として捉えてしまうことが問題です。
運動連鎖パターンの正常と異常
これはどの治療方法や評価方法にも同じことがいえます。
「〜方法を習うと〜方法以外は異常と捉える。」
これは間違いです。あくまでも患者さん主体。
患者さんの体の反応を素直に認めて受け入れられるかが重要です。
運動連鎖が破綻を起こすということは何を意味するのか?
そのパターンから逸脱することが異常か正常?という考えでなく、新しい考えはこうです。。
「様々な運動のパターンの連鎖ができる」
運動自体に様々な選択肢があるかどうか。
例えばランジをした時に
- knee-in
- knee-out
を選択肢て運動することができる。これが大切。knee-inだからいけないっというのは短絡的です。
運動に多様性を持たせる。
たくさんの選択肢を作る。
そのため柔軟性や筋力やコントロール。
スポーツ選手に必要な運動連鎖
スポーツ選手には運動の連鎖が必要です。
これは運動自体はほとんど反射で起こっているからです。
伸張性反射と言われストレッチショートニングサイクルと呼ばれています。
伸ばされた反動で筋肉が一気に収縮する。
これが一流選手になるとプラスして回旋が加わります。
この回旋の加わり方が強烈なパワーやスピードを生み出すのです。
じゃあ回旋を作り出す関節はどこか?
- 脊柱
- 肩関節
- 股関節
- 足部
など。動きの多い関節が回旋を作り、力やスピードを生み出します。
運動連鎖のまとめ
- 運動連鎖のパターン化で捉えない
- 運動連鎖の波及が止まる部分に問題あり
- 運動連鎖に対して「正常」・「異常」として考えない
- 運動連鎖のパターンが増えることで怪我の予防やパフォーマンスアップにつながる
運動連鎖の理解を深める本
筋膜の流れを見るのに便利。筋膜を理解すると運動連鎖のつながりも理解しやすくなります。全身と局所の評価をつなげるためには重宝する本。
足底板の本ですが運動連鎖についてわかりやすく書いてあります。歩行分析をグレードアップして運動連鎖まで評価したい人は是非おすすめ